001:咲
うたかたの恋はまばゆく咲き乱れはらり散り落つ実らずの花
002:飲
残された煮込み料理飲みさしのフルートグラス気が抜けてゆく
003:育
ゆっくりと手間隙かけて育んだ愛も壊すのはたやすいよね
004:瓶
ちょっとずつキミと傾けた思い出の瓶の底には琥珀の残滓
005:返事
諦めも肝心だよねもうおしまい返事はいらない何も言わない
006:員
おかえりの言葉でやっと一員になれた気がした新しい家
007:快
快速の停まらない駅窓の外通り過ぎるの眺めてただけ
008:原
そもそもがどんな原因だったのか今となっては分からないけど
009:いずれ
あまやかに溺れていたい今だけはいずれひとりに帰るけれども
010:倒
くたびれて倒れこむベッドぎしぎしと鳴いて乾いたふたりの代わり
011:錆
引き出しの錆びたコインのペンダント指でなぞってつけてはずして
012:延
傷つけて触れ合いたくて愛しくて延長する?と言い出せずいる
013:実
果実酒にキミが選んだマリアージュほんとに合うの?相性いいの?
014:壇
おずおずと教壇に立つ実習生教師と見るか異性と見るか
015:艶
うるわしの艷やかリップ憧れて背伸びしていたローファーの日々
016:捜
持て余すしあわせだったエピソード冥捜したり迷走したり
017:サービス
痛恨のサービスダウンうなだれたキミに枯らした声でエールを
018:援
さりげなく援けてくれたっけあの時調子良く図に乗ってたのに
019:妹
亡妹も着せたかったと泣く人の祝いの言葉空々しくて
020:央
休日の予定決まらずそわそわと待てないメール週央の夜
021:折
凡庸な紆余曲折の行き止まりドラマみたいな恋はおしまい
022:関東
高校の同じクラスだった関東京で恋を実らせたって
023:保
不意打ちで保護色纏えないままのすれ違い際街の片隅
024:維
埋み火の現状維持もままならず痩せ衰えた遠距離の恋
025:がっかり
くちづけでとろけた記憶掘り起こし慣れてしまった夜にがっかり
026:応
応援が虚しく響くビハインドそれでもキミは全力疾走
027:炎
隠し味炎はじけたフランベに目を丸くして吊り橋効果
028:塗
淡色を薄く何度も塗り重ねひだまり描くキミのスケッチ
043:ヤフー
トルティーヤフードコートに持ち込んでもう少しだけ待つことにする
