Blue Note

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――陽斗(ハルト)は私が、絶対に見つけてやる!



あの日――陽斗が居なくなってからの日々は、私にとって何の価値もない退屈な日々だった。
陽斗が、私の中でどれほどまでに大きな存在になっていたのか。かけがえのない存在になっていたのか。あの無価値の日々の中で分かったのは、ただそれだけだった。


だから、だから、私は……



「そんなに怖い顔をしていたら、折角の美人さんが台無しだよ」



突然、そんな声が私の耳に届いた。
完全に声変りを終えていない、まだどこか幼さを感じさせる声。
どうやら、窓枠に腰を掛けている少年が先ほどの声の持ち主のようだった。
無意味に辺りを見回してみる。無駄に長く、更に無駄に豪華な廊下に他の人影はない。
と、なれば、やはりあの言葉は私に向けられたものだったのだろう。


……誰?


しかし、私はこんな少年は知らない。
海のようなというには明るすぎ、空のようなというのには落ち着いている、そんな碧の瞳を持つ少年なんて!



「僕の名前は悠、|蒼本悠《ソウモトハルカ》っていうんだ。見ない顔だから、君は噂の転校生さんかな?」



私の心の声聞こえでもしたのだろうか、彼は親切にも名乗ってくれた。
しかし、私は何も答えず、それどころか逃げるように歩みを速めた。


彼の瞳は余りにも彼奴(あいつ)に似ていて……その瞳で見つめられるのがとても辛かった……。



「あれれ? 僕を無視するのー?」



頓狂な声を出した彼に、私は不愛想に答える。



「知らない人とは話さないと、決めているんで」



本当に可愛さの欠片もない私の答え。そんな私を彼奴はいつも笑って許してくれた。
悠と名乗った少年にこんな八つ当たりのような態度を取ったって無意味なのはわかっている。彼と彼奴は別人なのだから……。


でも……



「待ってよ!」



更に早足になる私。
逃げていると言われても良い、どうか私を――


その瞬間、少年に手首を掴まれた。



「待ってってば。君の名前を、僕はまだ聞いていない。君の名前を教えてくれないかな?」



そう言った彼の表情は、やけに真剣だった。
その瞳は真っ直ぐ私を見つめていて――そう、まるで彼奴みたいに――決して離そうとはしない。


知らず、私は歩みを止めていた。


気が付いてしまったんだ。
彼が――悠と名乗る少年が、陽斗にそっくりだと……!