2週間前から、私たちの会社に

お試し期間の22歳の女の子が勤めています。

彼女は2週間前にハローワークの人に連れられて来ました。

ハローワークの人が付き添って来るなんて事は珍しい。


面接をして、取りあえずお試し期間を1ヶ月設けることにしました。

出社形式ではなくて在宅でお仕事をお願いしました。



彼女が面接を希望した私たちの会社は

一番新しく作ったIT部門の会社です。

ITと言ってもソフトを作ったりHPを作ったりもしますが

テープ起こしという仕事をメインにしています。



雑誌の対談・ドキュメントTVの字幕・会議の資料

そういった物が吹き込まれたCD等から文字にする仕事です。


8時間の対談CDを3日で仕上げる場合

登録している人に一斉にメールで仕事依頼をします。

そして30分単位で仕事を振り分けます。 

Aさんが3日で1時間30分 Bさんは3時間 Cさんは3時間30分

3人で1本の仕事を3日間でやりきります。


今週は暇だからと一人で全部受ける人も居ます。

自分の都合で受ける仕事の長さを変えられると言うメリットがあります。

ただ、自分に甘いと仕事は出来ないでしょうね。

そして、納期を守れないいい加減な人には絶対仕事は回さなくなります。



面接に来た彼女は今年京都外国語大学を卒業したばかりです。

英語もそこそこ堪能です。


そんな彼女ですが面接の時に一度はお断りしようと思いました。

でも、彼女が本当に熱心で必死だったのでお試し期間を設けました。


何故お断りしようとしたか…




彼女は全盲なのです。



私たちの仕事は声(音)を文字に起こします。

CDを聞ける環境のPCがあってタイピングが出来て

ある程度の集中力と語彙力があれば

殆どの人が出来るお仕事です。

ですが、彼女には難しいかな…と思ったのです。



「橋を渡る」「端を渡る」どちらが正解でしょう。

話の流れでどちらの変換が正解なのかは分かるでしょう。

ですが、彼女には はしは

橋と変換されているのか端となっているのか平仮名のままなのか…

分からないのです。


文字に起こすと言うことは

橋・端・箸・ハシで意味合いが違ってしまいます。

そこが一番重要なところなのです。



この2週間で彼女は仕事を2本合計4時間分を仕上げました。

誤字はありました。

でもおおよそは出来ていました。

全盲の彼女はどれだけ努力したのだろう。

タイピングが出来るようになることも大変だっただろうに。



こちらの社員が、いつもより入念に誤字脱字のチェックをしました。




会社で彼女を受け入れ雇うとしたら

何をどうすれば良いのか話し合い中です。

ダーさんと私は雇い入れる方向で気持ちが固まっています。



事務所は京都市のほぼ真ん中にあります。

通うことは出来るでしょう。

でも、私たちの会社は今まで全盲の人を雇い入れた事がない。

ですから、どういった設備がいるのか

どういったフォローがいるのかが分かりません。

当面は在宅での仕事。


次に誤字の件ですが、

こちらは、チェック機能をする人員に負担がかかるのですが

そのことを、今いる全員が納得了承。

そして、ソフトを開発しているメンバーが

なんとか、変換を音声で知らせる方法を考えてくれることになりました。


彼女にとって十分なバックアップ体制とは言えませんが

なんとかお互いに協力し合い頑張って行けたらいいな。

そう思っています。

ダーさんが病気になって以前に増して

ハンディのある人の雇い入れを真剣に考えるようになりました。




そのことを昨日彼女に話しました。

「本当にありがとうございます。
 折角大学にも行ったのに、どこにも就職出来ませんでした。
 マッサージ師の仕事くらいしか無いと言われました。
 頑張ります。よろしくお願いします」と涙声でした。


これから、大変なこともあるかもしれません。

でも、彼女と私たちが笑顔で乗り切って行けるように

新たな挑戦です(#^.^#)v



今日も笑顔溢れる一日でありますように。