警視庁情報官

「こんな表紙になる。」

見せてくれたよね。

「ペンネームは、
 お母さんとお父さんから。」

何となくわかる。
暗証番号に残してたでしょ。
旧姓のE藤46…。
そういうところがすごく
S朗っぽい。

あの日以来、
S朗の小説は読まないって
決めてた。

サイン会の会場で、
主人公の名前を知ったの。
知剛さん。
蘇ったよ。何もかも
死ぬ思いして、
ギリギリのところで
こらえてきた思いが
溢れ出た。
すぐ側にいるのに。

覚えている?

『小説は経験したことしか
  書けないんだ。』
 って、同じ福岡出身の松本清張が…
 言ってるんだよ。
 だから、良かったね。
 沢山のことを、経験して。
 これから、またK視庁以外のこと。
 宇宙開発会社の顧問だったり、
 それから、議員秘書だったりする経験が
 きっと役に立つよね。」

優しい笑顔で

「うん。それはそうなんだ。」

って…。

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