H王子に来れば、
思い出す。
S朗が
学生時代の話をしてくれた。
「キャンパスは
出来たばっかりで…
裏の山には、
マムシが沢山出たんだよ。」
そうだった。
コンクリートで固められた
キャンパスに続く山道は、
時々、マムシが出てた。
「マムシをとれば、
学校が買い取ってくれて、
アルバイトより
お金になったんだよ。」
「捕まえられるの?
いいアルバイトでも、怖いよ…。」
「マムシを
簡単に取る方法があるんだ。」
「何でも知ってるね。驚くよ」
「仕掛けておけば、
次の日にはなん匹も入ってた。」
同じキャンパスに
違う時代に身を置いた
それぞれの学生時代を
思ってる。
彼はきっと、
いつもそんな風に、
躊躇しないでやってのける。
変わってない。
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