人生を共にした生き物が亡くなる。
とても苦しい瞬間だ。

ペットなんて表現で呼べない。
四六時中一緒にいるこは、家族同様の存在だ。

私には愛する猫がいた。
私の半生以上を過ごすことになったそのこは、私の涙も怒りも苦しみも、いろんなことを知っている。

寒さを感じる季節。
そのこが病を患いはじめたころから、別れなければならない日が来てしまうことを、覚悟しないわけにはいかなかった。
考えたくはないから、気丈に振る舞う。
つらくなりすぎないように、考えないようにもする。
そんな日々を過ごしていた。


私は彼女の死に目には会えなかった。


東京からそのこが住む埼玉の実家に向かったその日、最寄駅では父が車で待っていてくれていた。

家まで20分の道のりがはじまる。

私は今日の出来事を話し始める。
父は私の話に受け答えをしてくれる。
どきどきしながら、気丈に振る舞い続ける自分を保ちながら。

家まで10分。

父は間を置き、言葉にした。
彼女が今日亡くなったと。

私はなんとなくはわかっていたんだろう。
言葉で「亡くなった」と聞いた瞬間、なんとなく、ではなくなり、涙が止まらなくなった。

10分が過ぎて家の扉を開き、すぐにあのこに会うことができた。

かわいい顔でやさしい表情のあのこだが、今日は少しこわばった顔をしていた。

苦しかったのかな。
がんばったね。

私は抱きしめたかったが、いつものようにふにゃふにゃしてないそのこを、そっと抱いて顔をすり寄せることが精いっぱいだった。

私の大好きなこのこ。

もっと早く帰ってきたら、とも思ったけれど、彼女はもしかしたら、あえて、そうしたのかもしれないね。
私のことを1番よく知っているから。
もし死に目に会っていたら、私はもっとたえられなかったかもね。

亡くなる少し前、身体に異変のあったあのこは、
私の布団の上で、私の真上にあがってきた。
それが彼女の温もりを感じた私の最後の記憶となた。
私の上にはあまり乗ってこない彼女がこの日は乗ってきたのだ。
いまでも忘れられない。
上から私を見下ろすあたたかなあのこの体温と、あたたかな気持ちを。

身体の異変は人間の私からみてわかるものだった。
けれど彼女自身も気づいていたんじゃないかと思う。

私にぬくもりを感じさせてくれた。
最後の最後までやさしいこ。

別れはつらいが、これまで一緒にいられたことに感謝している。愛している。

私に、愛を教えてくれて、ありがとうね。
いつまでも私の大事なこです。

いま、空から私をみて、また泣いてるよって思ったでしょ。

泣いちゃうよ、そりゃ。
大好きだもん。

泣いちゃうけど、
元気に楽しくこれからも生きるからね。