そういう姿勢が外見と重なって、『ぶっきらぼう』に

見えてしまっているような気がした。



「せっかくだからさ、メアド教えて下さいよ」

ふと思い出したかのように、私に話しかけてきた。

そして自分の携帯を私に差し出して、言った。

「このままアドレス打って下さい」

携帯を受け取ったものの、一瞬、戸惑う。自分のアド

レスがすぐに出てこなかったのだ。

「もしかして覚えてません?」

まるで私が馬鹿であるのかを否定するように、慌てて、

「え、あ・・・、覚えてるわよ! 自分のとは機種が

違うからちょっと戸惑ってるの!」

と声を荒げて言ってしまった。

その様子をみて、ぷっと軽く苦笑いを浮かべながら彼

私に近づき、「こうするんですよ」と私の手から携

帯をするりと抜き取った。
「ちょっと、何?! 私を馬鹿にしてるの?」
半分ムキになりながら彼の携帯を奪い取ると、私は必

死で自分のメアドを打ち込んだ。
「で、それから保存はどうするの?」
彼の顔を見ながら携帯を差し出す。それを受け取り、

「電話番号は?」と言って私の顔を眺めている。

「え、かけるつもり?」

「・・・さぁ」

そっけない返事になぜか残念な気持ちになる。

「じゃあ、必要ないね」

相変わらず、可愛げのない返事をしてしまう。

「じゃあかけるから教えて下さい」

しかし彼のほうは真面目に、そしてまだ私の顔を眺め

ている。教えたくないわけではないけれど、私には何

か理由がほしかった。

それを察したかのように、「寂しいときに話し相手に

なってあげますよ」と、聞こえるか聞こえないか微妙

な大きさで少し照れくさそうに、そして苦笑いしなが

ら彼はつぶやいた。

しかし私はそれにわざと聞こえないふりをして、

「仕方がないから教えるか!」

と、おどけるように大げさに言ってみせた。

そしてゆっくりと携帯の電話番号を口にする。それに

合わせて彼の指は携帯のキーをゆっくりと押していく。

「じゃあ、後でメールしますね」

そう言うと携帯を閉じて、ズボンの後ろポケットしま

いこんだ。

「どんなメールを送ってくれるのか楽しみだわ」

「特ダネがあれば良いんですけどね」

私が少しとぼけた感じで言ってみせると、それに合わ

せるかのように彼もまた軽いノリで答えていた。

そして私はゆっくりと腰を上げた。

「お茶ありがとね」

私は彼からもらったペットボトルを左手に持って見せ、

「そろそろ帰るね。お腹もグーグーなってて、我慢の

限界」右手でお腹を押さえて言った。

「すいません、なんかゆっくりし過ぎてしまいました

ね」

その場から慌てて立ち上がる。

「ほんとに。でも、久しぶりにゆっくり出来て楽し

かった。偶然会えたことに感謝しなきゃね」

ゆっくりと自分の家の方に体を向ける。

「じゃあ、また」

彼がそう言うと私は「またね」と言って歩き出した。

私は1度も振り返らなかったが、彼は私の姿をしばら

く見送っていてくれた。