僕は、家を売った。
かれこれ、20年前に、結婚と同時に新築の家を買った。
家さえあれば、幸せになれる。
例えば仕事を辞めても、家さえあれば、帰るところがある。
家族もいるし。
そう思っていた。
居間に犬がいて、光が入って、おしゃれで
当時、若かったし、憧れた。
庭を手入れし、外壁を掃除し、自分ながらに、愛した家だった
でも、売った。そう
もう役目を終えたのかなと感じたから。家の。
この先、子供が巣立ち、疎遠の妻と二人で住み続けるだけの「箱」と化した
この家には、もうできた時のエネルギーは、明らかになくなっていた。
僕にはそう感じた。
それはたぶん、僕と妻の関係性やら、子供の大きくなっていったことやら
そんなことも関係しているのかと思う。
小さいころはね。キャッキャして、みんなで雑魚寝してね。
居間に布団わざと敷いて、「今日は映画会だ!」とかね。
幸せだったね。あの頃は。
子供が小さい頃は、どこの家庭でもそうだと思う。そして、僕のようになるのも
どこの家庭でも起こっていることなのかな。と思う。
見方を変えれば、不幸なことではなく、自然なことなのかな と。
僕は選択した。売る。人に譲る。本来必要な人に。売るを。
それは正しい選択だと思う。
所有にこだわらない。
家を売るのは大変で、特に、中の物を捨てるが、本当に大変。
数か月かかって、捨てて、整理して、最後、ひとり、夜中に床をワックスがけして、
開いた壁を補修して、
物がない部屋は、音が響いて
写真や子供の表彰状が飾ってあった階段を掌でなでて、「ありがとう。」と感謝して。
買ったときの状態に生まれ変わった家は、少し、嬉しそうな感じさえしたかな。
次に入る人が、小さいお子さんがいる家庭だったので、喜んでいるような。
よかった。本当によかったよ。ね。
そして、今、僕の荷物は、かなり少ない。
本当にない。
そのおかげで、こころもすっきりで。
所有欲は、ひとつの「欲」であることをしっかり認識して、すぐ飽きるから。
色々なことに感謝して過ごそう。