夏も終わり気付けば今年も残り3ヶ月余りですね……
秋の夜風を感じながら今年の年越しの過ごし方についてふと思いを馳せました。
年末年始の過ごし方というのは、職業上の休暇の関係や家族構成、家々に伝わる習わしなどによって様々だとは思います。
私の場合ここ15年余りは飲食店をやっているので、休みは大晦日と元旦だけです。
仕事の合間に用意した簡単なおせち料理や材料を持って帰り、大晦日の夜、紅白歌合戦が始まる位から家族に食事を出しながらちょこちょこお酒も飲みながら、年越しそばのタイミングを見計らい立ったり座ったりしているうちに除夜の鐘。「あけましておめでとうございます」と言い合って片付けをし、元旦は朝からお雑煮を家族に作ってやっと終了。ちょっと出かけて次の日からは仕事というパターンが基本でした。
父も数年前に亡くなり、私も離婚して一人になったので、去年の年末は生まれて初めて母と二人っきりで年越しをしました。それでも、料理の量が減ったので以前よりちょっと手間がかからなくなったのと、母がお酒を飲めないので私もノンアルコールだったぐらいで基本的には同じ様なお正月を迎えました。ただ一つ違ったのはお医者様から母にとって最期の年越しになるだろうと言われていたことです。勿論母もそのことは知っていました。
とはいっても、人の身体はどんな奇跡が起こるか分からないものですから、私の中ではお医者様の話は無かったことにして、母からその話題が出ないように過去や未来の話を避けながら、必要以上に明るく振舞うこともせず、できるだけいつもどおりに過ごしました。無事に大晦日を穏やかに終え、お雑煮も一緒に食べた元旦の夕方、実家に母だけを残し次の日の仕事の為に帰ろうとする私に向かい、突然母が「寂しくて死にそう」と言いました。私は「寂しい」と口にするのもされるの大嫌いなので、寂しがり屋の母から今まで何度となく聞いたその言葉を「人は本来皆寂しいんだからそんなこと言わないの!」といつもどおりはねのけて帰りました。いつもの寂しいとは違っただろうに……なんて冷たい娘なんだろうと自分でも思うのですが、そこで私がいつもと違う対応をしてお互いの心が脆く崩れてしまう事はどうしても受け入れられませんでした。
そして奇跡は起こらず、今年の年末はついに私にとって人生で初めてのおひとり様での年越しとなります。それこそ、さぞかし寂しいだろうな……とちょっと想像してみたのですが、寂しさはあるもののそれはそれでとっても良いお休みになりそうな気がしてきました。やせ我慢じゃないの? と言われそうですが、ほんとにかなりワクワクしています。
私は薬膳料理を作る仕事をしているので、自分の為に薬膳おせちでも作ってみようかしら?
いやいや、少数だったらお客様の御注文にも対応できるかもしれないので宣伝してみようかな?
お客様用のおせちの残りを自分用に、ちょっとお酒を呑みつつおせちをつまみながらDVDでも観て過ごすなんて想像するだけでも贅沢で完璧なお休みになりそうな気がしてきました。元旦に映画館にだけは行けたらより最高かも? 映画館の帰りに開いてるカフェで読書するのもいいな! 家でゆっくり久しぶりに絵でも書いてみようかな? なんて、どんどん想像が膨らんで楽しみで仕方がなくなってきました。
一人の年越しをそんなに喜ぶなんてどうかしてる! と思われる方もいらっしゃるでしょうね……
でも、世の中もほぼ皆さんお休みで、安心して休めるのって大晦日と元旦ぐらいしかないじゃないですか? その貴重な二日間を独りっきりで自分だけの為に使えてゆっくりできるなんて! ずっとサービス業をしてきた私にはそうそうあることじゃないんです。
年末は店が比較的忙しくなることが予想されますので、きっとまだその疲れも残っています。一人だったら片づけも、年越しそばのタイミングも好きにすればいい。食べなくたっていいんです。酔っ払っちゃったっていいわけです。寝坊しちゃってもいいんだし。何も気にせず、誰にも気兼ねせずストーブに当たりながら猫とぬくぬく過ごす2日間の至福の時。
想像するだけで、それを楽しみにあと3ヶ月頑張って働こう! という気にさえなります。
それぞれの事情で独り年越しをされる方は世の中に沢山いらっしゃると思います。それを楽しんでいる方、騒ぐほどのことでもなしと普通に過ごす方、来年こそは誰かと過ごすぞ! と意気込んでいる方、色々だと思います。普段通りお仕事をされる方も多くなり昔と比べれば特別感が薄くなった年越しですが、やはり一年中で一番特別な日であることは間違いないのではないでしょうか?
独り年越し、実際やってみたら死ぬほど寂しい瞬間があるのかもしれませんが、今のところこんなにワクワクするのだから初めての独りはきっと楽しいに違いないと思います。今年死ぬほど寂しかったら、来年はどうにか違う年越し計画を早めに計画しなくてはなりませんね。逆に独り年越しの魅力にすっかりはまってしまうのもちょっと怖い気もしますが……
とにかく初めての経験はなんでも一度っきりですから、大切な初独りカウントダウンに向けて今から存分に想像を膨らまし、残りの3ヶ月を悔いのないよう仕事をして、今年はよく頑張ったな……と、安心して自分を甘やかせる2日間にしたいと思います。
そして、お一人様の年越しに飽きてきた数年後、2日のうちの1日だけ一緒に過ごす人が居たら嬉しいな……と妄想はどんどん膨らんでいきます。