少年はいつも独りぼっち。

心は優しいのですが、言葉使いが悪いせいで

友達がいませんでした。

 

人から何かを頼まれると、

とても一生懸命やるのですが、

必ずやる前に「めんどくせーなー!」といいます。

少年がどんなに誰よりも良い働きをしても、

頼んだ方は何だか気分が悪いのです。

 

少年は、なぜ自分が人から嫌われるのかが

わかりませんでした。

 

こんなに一生懸命やってやってるのに!!

ふてくされて地面の石を蹴っ飛ばすと、

イテッ!!と声がしました。

誰もいないはずなのに。。。

よく目を凝らすと草むらにとても小さなおじさんがいました。

 

小さなおじさんは頭をなでながらこっちを向いて

少年をじーっと見ています。

 

「な、なんだよ!そんなところにいるのが悪いんだろ!」

少年はどなりました。

 

するとおじさんはニコッと笑って近寄ってきました。

「痛くないかい?」と、優しく少年に話しかけました。

「何言ってるんだよ!痛いのはお前だろ?」と、

また怒りながら言いました。

 

何を言われてもニコニコ笑う小さなおじさんは、

それから少年のそばにいるようになりました。

 

そして、少年が誰かに汚い言葉を使うたびに、

おじさんは「痛くないかい?」ときくのです。

 

少年は、変な奴だ!と、相手にしませんでしたが、

あまりにも「痛くないかい?」と聞かれるので、

ついに、「うるさい!!痛くなんかない!どっかへ消えろ!」

と、怒鳴り散らしました。

 

するとおじさんはス~っと消えてしまったのです。

 

最初はせいせいした!と思っていた少年でしたが、

だんだんとさびしく感じるようになったのです。

 

少年はまたひとりぼっちになりました。

 

いつも笑ってそばにいてくれたおじさんの存在が

とても大きかったことに気が付いたのです。

 

とてもさびしくて、たくさん泣きました。

「ごめん、戻ってきてよ。さびしいよ。

いつも一緒にいてくれて、本当は嬉しかったんだ。」

ポロポロ泣きながら言いました。

 

するとおじさんが目の前に現れました。

「痛くないかい?」とおじさんが言うと

少年は、「痛いよ!胸が張り裂けそうになるんだ!

おじさん、どうしたらいいの?

痛くて痛くて・・・」

少年は泣き崩れました。

 

「言葉はね、相手に伝えるためだけじゃなく、

自分にも伝わるんだよ。誰かを傷つけたら、

自分の心も傷つくんだよ。

ありがとうや楽しい、うれしいい、きれいだね!

っていっぱい伝えてごらん。

笑顔でね!」

 

それから、少年はみんなに笑顔で挨拶をし、

心がウキウキするような言葉をたくさん

使うようになりました。

 

すると、

少年の周りにはたくさんの人が集まるようになり、

笑いの絶えない幸せな日々を過ごしました。

 

おしまい