中国語は国連の6つの公用語(他は英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、アラビア語)の一つであり、中華人民共和国、中華民国(台湾)、シンガポールの3カ国における公用語である。 中国語を母語としている人は一般的に約12億人と言われており、第二言語としても約2億人が使用している。通用する地域はそれほど多くないが、母語話者が他の言語に比べて圧倒的に多いことから、世界トップクラスの話者人口を有する言語となっている。同じ中国語であっても、例えば、北京語(北方語の一つ)と広州語(粤語の一つ)と上海語(東部に分布する呉語の一つ)では発音、語彙ともに大きく異なるだけでなく、文法にも違いがあるため、直接会話するのは非常に困難であるが、共通の書面語(書き言葉)が発達しているため、字に書けば意思疎通は比較的容易である。

古代漢語

古代漢語紀元前15世紀 ごろ – 2世紀 ごろ)

  • 漢字 の原形とされる甲骨文字1899年 に発見)が使われていた。
  • 文法的に重要な役割を果たしていた接辞不変化詞 による修飾語 の形成があったが、後期になると衰え始めた。
  • 人称代名詞 があった。今でも一部が客家語湘語 に残っている。
  • この頃の文献としては、諸子百家 にまつわる書が残っている。
  • 声母 (頭子音)に複子音 sl-, pl-, kl-(例: 「監」*klam) などが存在した。
  • 韵母 の尾子音は豊富だった(例:「二」 *gnis)。
  • 語順はタイ語 的な完全なSVO型 だった。(例: 呉 敗 越 于夫椒 「呉は夫椒で越を破った。」 S-V-O-Adv ⇔ 現代語: 呉軍 在夫椒 把越軍 打敗了。 S-Adv-O-V) (橋本、1978)
  • まではタイ語的な名詞 -形容詞 の語順および普通名詞-固有名詞 の語順だった。(例: 帝辛武王 ) (橋本、1978)

中期漢語

中期漢語3世紀 ごろ – 代)

  • の全国統一によって、中原の言語が各地に伝播した。
  • 2音節の熟語、動詞名詞 の範疇が発達した。
  • 動詞活用 が消滅し始め、孤立語 的な特徴を帯びるようになる。
  • 当時、東南アジア における「国際語 」的な地位になっていた。
  • 李白杜甫韓愈 など偉大な詩人文人 を輩出した。
  • 漢字字体 が統一され、規範的な字書が作られた。また、科挙 試験によって、発音、字体、文法など、規範的な言語の使用が促進された。

近代漢語

近代漢語(元代、明代、清代)

  • 語彙面、文法面で、文語と口語の差が広がった。明代 から清代 には、口語小説が広く書かれるようになった。
  • 元代と清代には北方語 を中心にアルタイ語の影響を大きく受けた。
  • 元代口語には文末助詞の「有」が多用された。
  • 都のあった北京の言葉を中心に中国語の統一がさらに進んだ。
  • 多くの北方方言で入声 が消滅する。
  • 軟口蓋音口蓋化 が進行する。(乾隆 期)

現代漢語

中国では主に中文と呼ぶ。また多民族・多言語国家である「中国の言語」という点で、少数民族の言語も「中国語」といえなくもないことから、「漢族の言語」という意味で、この言語を漢語と呼ぶことがある。これは学術的な方面でよく使われる。また華語、中國話などと言う呼び方もある。ちなみに中国語で文字のある言語を文といい(例:ドイツ語→德文)、明確に定めた文字のない言語、方言あるいはある言語の口語・会話のことを指すときには話という(例:客家話)。また、語は前述の両方に使われる(例:閩南語、日語)。