私の住む街に一軒の繁盛している中華料理店がある。
店の入り口には雑誌に取り上げらたページが誇らしげに張られている。
しかし意外だが、料理の味は有名な坦々麺を除いては、格別おいしいとはわけではない。
また、この店は夫婦が経営していて、主人は厨房、奥さんは接客係をしているが、
奥さんは元々中国の人なのだが(それが関係するとは思わないが)、
無愛想で、話し方が怒っているようで、お世辞にも接客態度がよいとはとてもいえない。
数人の知り合いの間でも評判がよくない。
なのに店が客に愛され続けるのは、果たして坦々麺だけのおかげなのだろうか??
思わず考えさせられてしまう。。。
その理由は、実はその接客係である奥さんの魅力にあるようだ。
良く観察すると、来店客は皆奥さんの性格を把握しているようだ。
店内の席が空いている時でも、奥さんの案内があるまで着席しない。
料理の注文も奥さんの注文を取るタイミングに合わせるように待っている。
なんだか見てて不自由に感じる。それで店に愛着を持つ理由にはならないだろう。
だが更に良く観察すると、会計を終えて店をでる客一人ひとりに対して、
奥さんはそれぞれ何か言葉を掛けているのがわかった。
その言葉は憎まれ口にも聞こえるようなものだが、
確かに個人個人に対して発せられている心のある言葉だった。
接客マニュアルには決してないだけに、その人の本心なのだろう。
(おそらく態度が不器用なだけなのだ。それを皆分かっているのだろう。)
声を掛けられた相手は、なんとなく自分が覚えてもらえたような気分になり、また来てもよいと思う。
慣れたら逆に憎まれ口を言い返せるかもしれない。愛着がわいてくるのだ。
昔意地悪ばあさんのドラマが人気あったが、
この奥さんを評するとすれば、「愛すべき名接客ばばあ」なのではないだろうか。