西太后
せいたいごう
1835年11月29日~1908年11月15日
清朝の咸豊帝の妃。
皇后ではなく、第2夫人です。
日本で言えば側室です。
西太后と言うのは通称です。
西太后は18歳で咸豊帝の後宮に入り蘭貴人になりました。
その後皇帝の寵愛を受け唯一の男子を産み昇進します。
男子を産んだ事により彼女は権力を持つようになります。
1861年咸豊帝咸豊帝が崩御し、懿貴妃(蘭貴人)が産んだ載淳が唯一の男子だったので同治帝となり即位しました。
皇后は慈安皇太后(東太后)、懿貴妃は慈禧皇太后(西太后)となりました。
皇太后の2人を区別する為に紫禁城で東太后は東側の宮殿に住み、西太后は西側に住んだ為、東太后、西太后と呼ばれる事になります。
産みの親の西太后と育ての親の東太后が幼い同治帝の後見人となり垂簾聴政を行います。
東太后は西太后とは反対に温和で同治帝は産みの親の西太后よりも東太后になついていたようです。
1875年同治帝は19歳で崩御する。
死因は天然痘とも梅毒とも言われている。
一説には、西太后が、自分とそりの合わない同治帝の皇后と同治帝を合わせない為、同治帝は売春宿などに行って病気をうつされたとも言われています。
同治帝には子がなかったので後継者を誰にするかで問題になった。
普通は皇位継承は同世代間では行われない。
同世代かどうかの見分け方は名前の漢字にあります。
同世代の子には名前に同じ漢字1文字を入れます。
西太后の夫の咸豊帝は奕詝です。
咸豊帝と同世代の人の名前には「奕」が使われています。
西太后の息子の同治帝は載淳。「載」が使われています。
このように同治帝の後継者には「載」の名前が入っている者はなれません。
なれないはずだったんですが、西太后がこのルールを破ります。
権力低下を恐れた西太后は自分の妹の子「載」の字が入っている載湉(さいてん)を皇帝にします。
「えっ?皇帝の血入ってないじゃん?!」て思いますが、実は西太后の妹は咸豊帝の弟と結婚していたのです。
姉妹で兄弟に嫁いだんですね。
1874年載湉(さいてん)は光緒帝となり即位します。
この時光緒帝はわずか3歳です。
もちろん政治など行えるはずもなく、実権は西太后が握っていました。
彼は大人になっても西太后の傀儡でしかありませんでした。
その為後に西太后と対立し自由を奪われ、愛する人も失う事となります。
1881年、東太后が亡くなります。突然の死だった為に西太后の毒殺説もささやかれます。
1889年、光緒帝の皇后に西太后の弟の娘(姪)を立てる。
光緒帝は西太后の意向で彼女をしかたなく選んだんです。
その為夫婦仲はよくありませんでした。
皇后の他に側室が2人いました。
この側室は姉妹で妹は後に光緒帝の寵愛を一身に受けますが、義和団事件の時に井戸に落とされ(自ら落ちたとも)亡くなります。
光緒帝は1908年に崩御します。
その次の日に西太后が亡くなります。
亡くなる直前、西太后は光緒帝の弟の子・溥儀を次の皇帝に指名します。
ラストエンペラーの誕生です。
まだ2歳10ヵ月でした。
西太后が亡くなってからわずか4年で1644年から260年以上続いた清朝は幕を下ろす事になります。
権力を握り国を滅亡へと向かわせたと言われてますが、一方では西太后が清朝滅亡を引き延ばしたとも言われています。
呂后、則天武后と並び中国三大悪女と言われています。
この3人に一人加えて毛沢東の妻、江青を入れて四大悪女とも言われてます。
西太后伝説
『葉赫那拉(エホナラ)の呪い』伝説のせいで皇后になれなかったと言われてます。
この『葉赫那拉の呪い』とはヌルハチが併合した部族の首長が臨終の間際にヌルハチに対して「清朝の一族にたとえ女一人でも葉赫那拉の人間が加われば、そのものがおまえの一族を滅ぼすであろう」と呪いの言葉を遺して死んだ。と言う伝説です。
西太后は葉赫那拉氏なのでこの伝説を恐れた為、皇后になれなかったと言われてますが葉赫那拉氏の西太后が権力を握り清朝を滅亡させたと言う事で伝説が後付けされた、ただの噂とも言われてます。
西太后の悪女っぷりが見れますw
床上手にって皇帝の寵愛を得とうとする西太后が見れます。
これも悪女として描かれてます。
一番のおすすめはこれ
真ん中にいるのが西太后です。
斯琴高娃が演じています。
凄い威厳があってこの西太后が一番好きです。
光緒帝時代の話です。
他にも本など西太后が題材の物がたくさんありますよ。
私が持ってる本は
高陽 著 西太后 絶版でなかなか手に入らないです。オークションなどでたまに出てるのをちょこちょこ買ってます。
西太后ー大清帝国最後の光芒
ドラゴン・レディ 絶版になっていてなかなか手に入りません。bookoffで100円売ってるのを見て即買いしましたw
日本からは
浅田次郎が「蒼穹の昴」を書いています。
すごく壮大な物語です。
日本人がここまで書けるとはって感じですね。
ドラマ化したら面白いのになと思ったのが読んだ直後の感想です。
【追記】2010年1月現在
今NHKでドラマをしてます。
西太后役は田中裕子さん。
脇を固めるのは中国人俳優です。
平成22年1月2日からNHKデジタル衛星ハイビジョンで字幕放送をしてましたが、9月からはNHK総合テレビジョンで吹き替え版が放送してます。