偏光色のオパールの粉で塗られた唇に、タバコを挟みながら、氷のダイヤモンドが詰まった冷蔵庫を開けてオレンジ色の果実を取り出す。少し干からびて堅くなっていたけれど、包丁で傷をつけると甘酸っぱい香りがした。身近な鼻孔療法。窓に吊るされた音の鳴る箱からは、ピアノの音が小さな音符となって広がり、頭の中ではコーラスが始まった。
窓の外では、3日間降り続いた雨が止み、雲の隙間から太陽が顔を出した。銀色のような肌寒い空気の中で、薄いピンクの水玉が揺らめき、子供達がそれを取ろうと、腕をめいっぱい伸ばしている。子供達が一番なりたいものが水玉ハンター。ハンターの服に付いている水玉の数で、ハンターとしての階級が決まる。女の子も男の子も夢中だ。タバコの灰が、2センチほどのオブジェになりかかっている。灰皿に灰を落とそうとした瞬間に、灰は床にくずれていった。
頭の中ではコーラスが鳴り響く。頭を振っても止まらない。脳みそが、ハイヒールを履いて、踊れと指令を出しているようだ。奥の部屋のクローゼットから、盗んできた針金のハイヒールを取り出して履いてみる。コーラスに合わせ、足を動かす度に、針金が曲がるから、形を保つのが難しい。
33回目のステップを踏んだ時、左足がぐにゃっと曲がった。