先日のレッスンで
生徒さんからこんな質問を頂きました。
「生地に混ぜ込むバターは、なぜ室温に戻してから使うのですか?」
確かに、そうですよね。
冷蔵庫から出したばかりのバターではなぜいけないのでしょうか?
今日はパンの生地に混ぜ込むバターを
なぜ室温に戻してから混ぜ込んでいくのか
書いてみたいと思います。
この記事を書いている人 -WRITER-
手ごねパン教室ポラール:市川 希里絵
パン作りを通して 「成長を実感してもらえること」 「家族に手作りのパンを食べてもらえる喜びを、感じてもらえること」 それらを通して、自分に自信を持ち、自分自身を満たす。 あなたの生活や家族との関係がより良くなり、豊かになるような教室を目指しています。
冷蔵庫から出したてのバターを使うと・・。
実は私も、パン作りを始めたばかりの頃、
”バターは室温に戻してから使う”
と教わったものの
冷蔵庫から出すのを忘れてしまったり
思い立った時にパンを作りを始めるので
バターが冷蔵庫に入ったままだったり
結局、「まっいいか!」と思い、
冷蔵庫から出してすぐのバターを使っていたりしたのですね。
でもある日、たまたまバターを室温に戻して
パン作りをしたことがありました。
その時に気づいたことがあったのです。
「あれ?なんかいつもより、バターが生地にスムーズに入り込んでいくな」
「しかも、発酵もスムーズに進んだな」と。
いつものパン作りと違った事と言ったら
”バターを室温に戻してからパン作りを行った事”
だったのですね。
その時にやっとバターを室温に戻す意味が分かった瞬間でした。
冷蔵庫から出したばかりのバターは硬いですよね。
それを生地に混ぜ込もうとしても
なかなか生地に馴染んでくれず
結果、かなりの時間ロスに。
しかも、冷蔵庫から出したばかりのバターは冷たいので
それをそのまま生地に混ぜ込んでいくと
生地が冷たくなってしまい、
発酵時間が長くなってしまうという事なのです。
溶けてしまったバターを使うと・・。
バターなどの固形状の油脂には、
可塑性という性質があります。
可塑性とは、
外から力が加えられると粘土のように形を変えて
その力を保つ性質のことで、
この可塑性があることによって
グルテンが形成された生地に混ざっていきやすく、
伸展性の良い生地になるのですね。
そして、なんとこの可塑性という性質を発揮できるのは、
適度に柔らかくした状態のバターに限られるのです。
では、溶けてしまったバターを混ぜ込むとどうなるのか?
溶けてしまったバターは可塑性が失われて
生地に混ぜ込もうとしてもなかなか混ざらない
ということが起こるわけなのですね。
しかも溶けたバターからは水分が分離し、
水分が足された状態になってしまうので
生地がベタベタした状態になってしまうのです。
ベストな状態とは・・。
では、バターを室温に戻した時にどのような状態であれば
ベストな硬さなのか?
それは、
バターを指で押してみたときに
スッと入るくらいの柔らかさ
がベストなバターの硬さの目安となります。
素早くバターをベスな状態に戻す裏技とは?
バターを室温に戻した状態が良いとはいえ
私のように
冷蔵庫から出すのを忘れてしまったり
思い立った時にパンを作りを始めるので
バターが冷蔵庫に入ったままだったり
そんなことだってありますよね。
そんな時に、素早くバターを柔らかくする
とっておきの方法があります!
①まず、使う分だけのバターをラップに包みます。
②次にレンジの一番弱いワット数(我が家は200Wです)
で10秒温めます。
③レンジから取り出してバターを指で押してみて
スッと入るか確かめます。
まだスッと入らないようであれば、
5秒ずつ温めて、その都度柔らかさを確認します。
ここで強いワット数で温めたり、
少しずつ温めずにいきなり長い時間温めたりすると
バターが溶けてしまった・・
なんてことになるので、(私は何度も経験済みです(笑)
気をつけて行ってみてくださいね。
まとめ
今回、生徒さんから頂いた質問から
「なぜ、バターは室温に戻してから生地に混ぜ込むのか?」
を私の失敗談を絡めてお話してみました。
なるべく時間をかけずに生地を作り、安定した発酵する為には
バターの状態によっても大きく変わってくること。
冷蔵庫から出してすぐのバターや
溶けてしまったバターではなく
バターを室温に戻してから生地に混ぜ込むには
ちゃんとした理由があったのですね。
今回のバターに限らず
パン作りにおいて、1つ1つの工程にはちゃんと意味があり
その意味を知ることによって、パン作りが初めての方でも
「そっか!そういうことなんだ!」
と理解すると、
パン作りがさらに楽しくなり
もっともっとパン作りの幅が広がると思いますよ。
参考になれば幸いです。
国産強力粉と外国産強力粉では使用する水分量は違う?!国産小麦粉の特徴を知ろう
こんな記事も書いています。
良かったら合わせてご覧ください。