「ごめんね、待っちゃった?」


高級な鞄を隅に置くとこれまた高級なアウターをハンガーに掛けながら言った。


アウターを脱いだ姿もやっぱりおしゃれな姿の彼に見惚れてしまう。


「あ、いや俺もちょっと前に着いたところだから。とりあえず飲み物と適当に頼んだもので良いかな?後は喰いながら追加するとして。」


「あ、うん。」


実は予約を入れた時にある程度は料理をお願いしてあった。


俺の前に座ると部屋を見渡した。


「素敵なお店だね。めっちゃ高級なとこでしょ?」


「俺も教えてもらって初めて来た。

誕生日だからもっと洒落たところが良かったかもしれないけど…。」


「全然全然こういうところ好きだよ。何より翔ちゃんと2人きりでゆっくり出来るから嬉しいよ。」


誕生日に2人きりで祝おうと店を予約する際に悩んで決めたのが大御所先輩から教えてもらった懐石の料亭。

確かになかなか予約も取れない高級店なのだけど


「世間はクリスマスだと言うのに和食ってのもな(笑)」


「そんなの関係ないよ。それにこの歳になるとそんなに量も食べれなくなるしどっちかって言うと和食を選びたくなるもん。実家は中華だけどね(笑)」


「そっか、なら良かった。」


『おまたせ致しました。』

と飲み物と料理が運ばれて来た。


「まず乾杯だな。」

と、ワイングラスに注ぐ酒を見て雅紀が驚いた。


「え?ピンクドンペリ?!」


「そ、これは俺がお店にお願いして持ち込みさせてもらった。雅紀に飲んで欲しくてね。」


お互いグラスを持って目と目が合うと雅紀の潤った瞳に愛しさが込み上げた。


「雅紀、誕生日おめでとう」チーンッ♪

「ありがとう」

「&メリークリスマス」チーンッ♪

「メリークリスマス」



「あ〜美味しい。それに幸せ〜」


グラスのドンペリを一気に飲むと雅紀が目を閉じて言った。


テーブルに並んだ数々の料理にも「え?、なにこれうっめぇ」とリアクションを取りながら口に運ぶ雅紀は出会った時と変わらない可愛さがあって可笑しくなった。


「え?何?翔ちゃん。」


「変わらないなぁと思って。フフフ」


「何が?」


「天然なとこ。」


「えーーー酷っ。俺もう42のおじさんよ!」


42だろうがおじさんだろうが雅紀の可愛さは変わらない。

以前より少し深くなったその目尻のシワも俺はたまらなく好きなんだ。


「そっかwww。そんな天然のおじさんにこれを。誕生日おめでとう。」


と、紙の袋に入った品物を渡した。


「え?あ、これって!」


袋から取り出すとそれ見るなり俺を見た。



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さてその袋の中身は?🤭