車を走らせ着いたところは空港に近い公園の駐車場。
駐車している車はほとんどなく車内からは時折空に向かう航空機や着陸に向けて下降している航空機の灯りが見えた。
「2人でドライブは久々だな。」
ずっと黙っていた俺に翔ちゃんが車の窓を少し開けて電子タバコを吸いながら言った。
「うん。」
「たまにはこうしてドライブ…」
「俺って…最低だよね。」
翔ちゃんが話している途中で俺は話し始めた。
「俺…皆が早く帰れって言ってるのにこんなことして…分かってるのに…分かってるけどでもどうしても真っ直ぐ帰りたくなくて…一人で呑みに行って気付いたらあの公園にいて…凄く凄く翔ちゃんに会いたくて。」
「何で最低なの?雅紀がしたいと思うことすれば良い。それのどこが最低だって言うの?」
「だって…。俺、こんなんでやっていけるかな…俺自身いろんな相葉雅紀が居すぎて分かんなくなってる。」
「確かに雅紀はいろんなもの背負っているからな。けどその半分俺が背負ってやるから。」
そんな翔ちゃんの優しい言葉に我慢していた涙が止まらなく溢れ出てきた。
「翔ちゃんが?」
「そう、伸し掛かって抱えきれない時は俺に渡せばいい。だから直ぐに俺を呼べよ。」
「そしたら翔ちゃんが大変じゃん。」
「バカッお前が悩んで苦しそうにもがいてる姿を見てる方が辛いっつうの。」
「俺さ、もしこの先何かを失う事があっても翔ちゃんとの関係だけは絶対失いたくない。」
「めちゃめちゃ嬉しいんですけど。雅紀はこれまでだって乗り越えて来んだから大丈夫。ちゃんと前に進んでパワーアップしてきているんだから。幸せ何だろ?」
「翔ちゃん…翔ちゃんてば何でそんな大人なの?カッコ良すぎ。」
「ハハハッ。そお?お前より11ヶ月お兄さんだからかな?」
「いつも花の82年組とか言ってるくせにwww。」
「良かった。やっと雅紀の笑顔が見れて。」
翔ちゃんの右手が俺の頭をフワリと乗ってから俺の濡れた頬を掌で拭ってくれた。
「翔ちゃんはいつでも貴方の側に飛んで行きます!」
「翔ちゃん…高いところ苦手でしょ?www」
「うるせっ」
自然お互いの顔が近付いて久しぶりに唇が重なった。
翔ちゃんのタバコの味。
そっと抱きしめてくれた翔ちゃんの胸の鼓動を感じて俺も翔ちゃんの背に腕を回した。
「もう、大丈夫か?」
翔ちゃんの温もりを感じて重たかった何かがスッと軽くなった気がした。
「じゃ、帰るぞ。」
エンジンをかけて車は走り出した。
夏の終わりの夜風は窓を開けた車内でも感じられた。
カーステからは嵐の「夏の終わりに想うこと」が流れていた。
「俺、この曲好きだな〜。」
翔ちゃんが曲に合わせて口笛を吹いていた。
「俺も好き。」
思えば去年もこんな風に不安になったとき側には翔ちゃんがいてくれた。
きっと毎年夏の終わりには必ず翔ちゃんに会いたくなるだろうな。
ううん、会いたくなったらいつでも翔ちゃんを想うよ。そしたらきっと来てくれるよね。
そう思ったら胸のつかえが無くなって喜びに変わっていった。
翔ちゃんとのドライブで走っている道を見れば俺を待っているであろうマンションへと向かっていた。
fin.
泣き出しそうな空の日にも
ずっとそばにいるよ
抱きしめた壊れるほど 壊れるほど確かめてた
胸の鼓動が重なれば僕らはひとつになる
抱きしめた夢の中で 夢の中で息をとめた
思い出があふれだして始まる夏の終わり
一度きりのこの夏を超えてみようよ
ふたりで…
「夏の終わりに想うこと」
.。*♡.。*♡.。*♡.。*♡.。*♡
無理やり3話で終わらせてしまいました
ちょっぴり暗めなお話になってしまったけどお互いを思う気持ちは強いものだと感じてもらえたら嬉しいな
頼もしい翔ちゃんとそんな翔ちゃんが大好きな雅紀の設定が好き何だよなぁ~ククク
ではまた
読んでくれてありがとね
ぶいちゃん