「あれ?相葉くん?」
と、声をかけられ振り向くと以前共演した先輩俳優の方と数名の顔見知りのスタッフだった。
会いたくなかった。と心の中で思いつつ
「あ、どうもお久しぶりです。」
つくり笑顔を見せながら挨拶をした。
「え?一人なの?一緒に呑もうよ。」
上機嫌に手招きしながら背後のテーブルに誘ってきた。
勘弁してくれよ…そんな気分じゃないって。
「ごめんなさい。これ呑んだらもう帰ろうと思っていたので。」
本当はもう少し居るつもりだったが残りをグイッと呑み干してカウンターの席から立った。
「あっ、そっか。そうだよ早く帰ってあげた方が良いよ。宜しくお伝えしてね。」
そう言うとテーブルに着き仲間とオーダーをし始めた。
あ〜ぁ、また「早く帰ってあげろ」かよ。
心の中でまたモヤモヤが湧いてきた。
俺は会計をし会釈をすると店を出た。
辺りは暗く街のネオンが広がって眠らない夜へと誘っていた。
途中で拾ったタクシーでマンションへ向かった。
高級マンションが聳え立つ近くの公園で下ろしてもらい酔い醒ましの為に街灯がぼんやりと照らす公園のベンチに座った。
夜風はもう夏は終わったのだと感じる秋の涼しさをTシャツから出た肌に当たっていた。
スマホの画面が俺を明るく照らした。
親指はスラスラ画面を変えて気が付くと耳に当てていた。
ツーコール目で聴こえた声は今1番聴きたかった声だった。
「雅紀?どうした?」
「翔ちゃん、今家?」
「そうだけど?」
「そうだよね。翔ちゃんだってそうだよね?」
「何?どうした?雅紀は?もう家だろ?」
「俺?俺は…」
ピーポーピーポー♪
消防車が公園を横切って行った
「雅紀、お前まさか!そこで待ってろよ!」
息を切らしながら俺の前まで走って来て「ホレッ」と缶コーヒーを渡してくれた。
「消防車の音で分かったの?良く分かったね。」
「雅紀の気持ちがそうたせたんだろうな。俺はここに居ますって。」
プルトップを開けてコーヒーを飲んだ。
「あったかい。」
「もう秋だな。」
翔ちゃんも一口飲んで言った。
お互い黙ってコーヒーを飲んでいると
「なぁ、ちょっとドライブしようか。」
翔ちゃんが車のキーを見せながら微笑んで言った。
to be continued
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今日は「みんどう」&「SHOWチャンネル」で櫻葉day

ぶいちゃん