放送が終わり時刻は0時を跨ぎ日付が変わった。
楽屋に戻り荷物をまとめて駐車場へと向かった先で見えた姿に一瞬心臓が止まったかと思うほど驚いた。
「翔ちゃん!」
俺に気付いて走り寄って来た。
「うわぁっ!ま、雅紀?え、何?どうした?」
と、プチパニックの俺。
「お疲れ様。俺が送ってくよ。」
驚いている俺とは対象的に楽しそうに満面の笑みの雅紀。
急で申し訳なかったが雅紀に送ってもらう事になったとマネジャーに告げた。
雅紀の車に乗るのは久しぶりでハンドルを掴むその姿に身体が熱くなり鼓動が早くなった。
「毎週こんな遅くまで大変だね。」
「もう15年以上だかんなぁ。慣れては来たけど…じゃなくて!なんで?いつもなら雅紀はもうとっくに寝てる時間だろ?こんな時間に大丈夫なのか?」
腕時計の時間を確認して雅紀を見た。
仕事じゃないのにこんな時間に外出じゃ向こうも心配するじゃないのか?
そう思ったが口には出さずに雅紀の表情を伺った。
綺麗な横顔に改めて見惚れてしまう。
「ねぇ、食べてくれた?」
俺の質問に全く別の質問が返ってきて俺は動揺した。
え?何を?あぁもしかしてあの菓子のことか?
「ん?あぁ、うんありがとうな。嬉しいよ。」
「味は?味の感想聞いてないからさ。どうだったかなぁって。」
そう言えばラインしけど嬉しさのあまり感想までは伝えてなかった。
だけどそんなの美味しいに決まってるし雅紀の手作りならスイーツなのに塩っぱくたって辛くったって苦くったって俺にとっちゃあ極旨だ。
「めちゃくちゃ旨かったぞ。何?それを聞きにわざわざ来たわけ?ごめん!感想のメッセージするの忘れてた。」
「バカッ!んなわけないじゃん。」
と怒ってこっちを向いた雅紀が可愛くて堪らず抱き締めたくなった。
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もうちょい続きます
ぶいちゃん