中流の苦悩
我が家は夫婦共働きで、ざっくり年収1000万円。
いわゆる中流家庭にカテゴライズされるような家族です。
中流家庭は、特にこれといった問題もなく、「普通」に生活している家族というイメージがあったのですが、実際にそうなって見えるのは、四方を針の壁で囲まれたような身動き出来ない世の中。
我々のレベルの家庭は、裕福と言えるほどの収入はなく、収入の少ない家庭などに対する支援も当てはまりません。
収入の大半がなぜか消滅していく日々。
それぞれの両親も近くに住んでいるわけではないので、子育ての手助けも頼めず、フルタイムで働きながらも、少しずつ少しずつ時間を削りながら子供のための時間を捻出しています。
子供も、7時過ぎに園のバスに乗って、お迎えに行ける18時まで園で過ごします。
バスに一番最初に乗って、閉園間近まで園にいる娘は、園の中で最も長く園で生活しています。
園自体はとても良い園で、園庭も木製の遊具が多くあり、バギーのようなものや、自転車もあって、先生方もとても良く見てくださっており、外遊びが好きな娘にはとても向いている園だと思いますが、たまに他の子と同じようにバスで帰れる日は、それはそれは大喜びで帰ってきます。
やはり、5歳の子供が半日も園で過ごすということは、実は淋しいのです。
毎日毎日、娘に悪いと思いながらも、生活のために両親必死で働いています。
もっと子供との時間を増やしたいけど、それは収入減少が伴うので、とても難しい。
毎日半日遊び尽くした娘は、家に帰ってくると、もう体力は残っておらず、そのまま着替えもせず、晩御飯を食べる前には寝落ちすることがしょっちゅう。
それを回避する方法は、迎えに行った足で外食するしかありません。
たぶん、うちの娘は家庭の味ってのがまだ無いと思います。
ご飯を作ると、出来上がる前に寝てしまうから、作る事が出来ないからです。
過去には少し調理するだけでご飯が用意できるようなサービスも使いましたが、そのわずか5分10分も待てずに寝てしまいます。
こういう時に身内が家にいてくれれば。と思うことが頻繁にあります。
家政婦さんを雇う方法もありますが、あくまで中流家庭なので、そこまでの余裕はありません。
もちろん子供がいることで、幸せを感じたり、この子のために頑張ろう!となることはいくらでもあります。
けど、頑張ると家庭での時間が無くなり、家庭での時間を優先すると、収入が減る。
今が丁度ギリギリの細い線の上をバランスをとりながら歩いている状況です。
少子化に苦しむ国で、一生懸命子育てしている家庭なのに、大部分の支援の枠からは外れてしまう。
けど、出費はどんどん増加する。税金もこれでもかと引かれ、増税される。
この国は少子化対策を謳いながら、実は子供を育てることにペナルティを与えているとしか実感できません。
この状況でどう子供を育てろと?どう教育しろと?どう子供を増やせと?
この状況ではどう動こうにも針の壁に囲まれて、動く事が出来ない。
中流家庭なのに、なぜ?自分たちの子供の頃はそんな事はなかったように思うけど…と思って考えてみたら、昔の中流家庭は、父親が外で働き、母は専業主婦のパターンが多かったのではないでしょうか?
同じ中流家庭でも、1馬力で中流家庭になれれば、もう1馬力を子供専用にすることも出来るでしょう。そして、昔はそれが出来る世界でした。
ですが、今はそうじゃありません。
今の中流家庭は夫婦共働き。つまり2馬力で中流家庭にたどり着いている家庭が多いのではないでしょうか。
同じ中流家庭でも、既に2馬力使ってしまっているので、そもそも1馬力分がたらずに、子供にしわ寄せがいってしまっているのです。
自分たちが幼かった頃のように、小さな子供が家に帰ってきたら、父でも母でもいいから、おかえりなさいと言ってあげられる生活がしたい。
特にお金の心配をせずに習い事をさせてあげたり、旅行に連れて行ってあげたい。
少し前の普通を実現するのは、今の世の中では至難の業だと感じるのは俺だけでしょうか?うちは何か頑張りが足りないのでしょうか?我々が何か悪いことをしたから、子育てするとペナルティが科せられているのでしょうか?
家族で少しのゆとりを感じながら生活したいと思っているだけなのに、現状維持以外の方法をとることが難しい。
こんな時代に生まれてきた娘には、時折申し訳ない気持ちになってしまいます。
これじゃ、子供は増えないよね…。

