竹輪屋忘備録 -2ページ目

思っていたより高額になった葬式の代金は当日までに振り込みするか現金を持参することになった。

人が死ぬと現金が必要になるんだと勉強になった。

 

打ち合わせの後で安置室で眠る姑に会いに行った。

死亡時の衣類は汚れていたので脱がされて別の衣類を身に着けており、顔は右半分がうっ血して痣ができていた。右を下にして倒れていたので床で顔を打ったか長時間同じ態勢だったからなのか・・・体はまだ汚れたままで安置室は当然寒いので、早く体をきれいにしてあげたかった。そして、動かない静かな姑を見るのは初めてだった。全身麻酔の手術をした時でも直前まで話していて手術室から出てくるなり「痛い痛い」と嘆いてたので微動だにしない不自然さが、これは姑ではない別人じゃないのかと思う。なんでことになったんだろう。生死はあっけない。汚れた衣類を入れたビニール袋を提げて葬式場を後にし、実家で通帳と保険証券等の金品に関する物を家へ持ち帰り、銀行へ向かった。

 

姑の通帳からキャッシュカードで1回に引き出せる上限は50万円まで。50万円を引き出し、主人の口座へ移動させる。銀行を回って50万円ずつ引き出しては別口座へ移動させて行った。お金がないと言ってたわりには手許金があるのは意外だった。移動させたお金を葬儀社へ振り込んで葬儀代金の支払いを済ませた。

 

姑の妹に電話で姑が亡くなったことを伝えて、親族に連絡を回してもらうようお願いした。

 

 「〇〇さんに連絡お願いします」

 「あの人は高齢でガタガタだから呼ばなくて大丈夫」

 「そしたら、●●家の人に連絡を・・・」

 「そっちもガタガタだから来れないわ」

 

 ガタガタ・・・言い得て妙だと思った。

 

 結局ガタガタの人が多くて葬式に呼ぶのは姑の妹夫妻といとこ家族だけになった。