狂わせた時計と壊れたコンパス
私たちは大人になれない
くりかえしてく 最後のキス
まだここにいる
離れられずに
暑い。
梅雨だと言うのに
日差しが容赦なく処理されていない腕を刺す
変えたてのネイルも
色が落ちてそのままの短い髪も
眉毛しか書かれていない能面も
気にならないほどに、どんな顔をしたらいいのかを考えたわ。
"月が綺麗ですね"というのには、まだ陽は高い
車に乗る
エンジンをかけシートベルトをしめる
暑さにも関わらず、ひざ掛けを膝にかけた。
こんにちは
隣に住む井戸さん
引越したての私に朗らかに挨拶してくれたのが印象的
隣に止めてある
可愛らしいピンクの軽自動車にのると
運転席で鏡を確認 髪を整え 私より一足先に出ていった
とりあえず、実家へ
あゆのお菓子を買ってきてくれたと
先日母から連絡があったので取りに行ってから会いに行こう。
何でもいい、話のタネにはなる
きっと少しは落ち着く
ほんのり甘いあゆを食べながらでも行こうか
そんなことを思っていた気がする。
なるべく、平然に 平穏に 気を荒らさず 笑顔で。