劇団四季 異国の丘を観てきました。
数年前にも名古屋ミュージカル劇場で公演していましたが、そのときは観損ねてしまって。
今回は、絶対に見たいなぁ~~と思っていたので昭和三部作のひとつとして上演されると知り、とても楽しみでした。
ストーリー
敗戦後のシベリア。時の日本国首相の息子九重菊麿の息子秀隆は、シベリア抑留兵として過酷な労働を強いられ、日々尋問をされていた。
彼はかつての楽しかった日々に思いを馳せる。
アメリカに留学中に出会った美しい娘愛玲。しかし彼女は敵国中国の「宋愛玲」。蒋介石の妻「宋美麗」の兄の娘、つまりは蒋介石の姪にあたる。
ひと目で恋に落ちた二人に待っていたのは、政治的画策や反対そして憎しみ合う国民。許されない恋であった。
和平が実現するため、父の秘書官となった秀隆は、上海の愛玲の父の中国高官と言う立場を足がかりとし、蒋介石から親書を取り寄せる。
これさえ日本の九重首相の手に渡れば、和平は実現・・。しかし憲兵隊や軍部は秀隆をマーク。
ことはそう簡単には運ばなかった・・。
軍部の規律に反抗した秀隆は徴兵され満州で兵役につくが、そこへ攻めてきたソ連軍に捕らえられ捕虜となり抑留される。
秀隆の人柄・政治的才能を感じ取ったソ連軍は日々味方になれと迫るが断る秀隆。
それが秀隆の命を脅かすこととなる・・・。
まず一言。
とにかく泣けて泣けて・・・。
幕が上がった瞬間から泣けました。
カーテンの幕が上がり、薄暗い舞台には白樺林に凍てついたシベリアの大地。
ボーっと浮かび上がる降り積もる雪が、ぼろぼろの軍服を真っ白に染め、座り込む兵士たち・・。
シベリアに抑留されている捕虜たちです。
舞台のセットとはいえ、こちらまで寒さが伝わってくる舞台でした。
そして、舞台は一転楽しかったアメリカ留学時代へ。
暗く寂しく辛いシベリアの場面から、陽気にチャールストンをバアで踊る人たち。
秀隆が愛玲と出会った思い出の場所。
それが悲劇の始まりでもあった・・。
強く惹かれあう二人。
でも日本人と中国人・・・。日本は中国侵略を繰り返し、祖国を愛する愛玲は一度は別れを決める。
しかしやはり別れられない。
周囲の反対を押し切り、秀隆に会いに行こうとする愛玲。しかしそこへ、悲痛な知らせ。
愛玲の祖母が戦争に巻き込まれて重傷を負ったと。
にっくき日本軍が、上海を攻略し始めたと。
泥沼化する戦争、お互いそれぞれの国へ戻ることに。
船でそれぞれの国へ戻るシーンがあるのですが、デッキに立って歌で愛を告げるシーンも、これまた涙。
涙腺が緩みっぱなしでした。
二人の歌に、すごく感情がこめられていて。
そしてやっぱり、シベリアのシーンが一番切なく辛かったです・・。
自分の死期を悟った兵士の一人が、遺言を口述で残すところは、もう周りみんな泣いていました。
シベリア抑留兵たちは、満足に食べるものもなく、極寒のなか厳しい肉体労働にきついノルマ。
ノルマをこなせば、さらにノルマはきつくなり・・栄養失調から来る病気でばたばたと仲間は死んでゆく。
昨夜となりで寝ていた兵士は明け方冷たくなっているのは、いつものこと・・。
名も知らない兵士だが、同士・・。
日本へ一部の兵士が戻れることとなり、ぜひ自分の家族に伝えて欲しいことがあると。
しかし、紙に書いたのでは憲兵に必ず見つけられ取り上げられ、下手すればまたシベリアへ戻ることとなってしまう。
なので、記憶をしてくれと。
おかあさまへ、おとうさまへ、妻よ子供たちよ・・・とそれぞれの人に充て想いを伝え、兵士たちがそれを記憶します。
秀隆が一言「一人だけが憶えるのではなく、全員が憶えて置こう。そうすれば必ず家族に伝わる」と。
なんて人間が出来ている人なんだろう・・・(涙)
そして収容所で出会った、留学時代の親友は敵に魂を売り渡していた。
無理もない・・・スパイをすれば日本へ返してやると言われたら、あの状況なら誰だって・・。
私だってきっとそういう道を選んだかもしれない。
秀隆のように、最後まで誇りを捨てず立派に生き抜いた人のほうが、珍しいのでは・・と思ってしまうのは私の心が弱いせいでしょうか。
やっぱり自分さえ・・・という気持ちが強いのかなぁ・・。
とにかくとても考えさせられる舞台で、静かな感動を呼び起こしました。
ストーリーテラーも舞台で話していましたが、今の平和は戦中に空襲で亡くなったり、戦犯として処刑された人々、シベリアだけでなく各地で戦って命を落とした兵士たち・・・。
その人たちの涙の上で成り立っている平和だと。
それを忘れてはならないと。
次回は昭和三部作完結編、南十字星を観て来ます。
これもハンカチ必要だろうな~きっと。
とにかくあと1週間名古屋ミュージカル劇場で上演しています。
絶対観るべきです。
平和とは何か、戦争とは何かととても考えさせられ、今平和ボケしている自分が恥ずかしくなりました。

