BL妄想

時間は5時少し前
家の裏に小高い丘があって
少しへこんで注意深く見ないと
そこに秘密の基地があるなんて
誰も知らない
そこは俺と潤のふたりだけの
秘密基地
親に怒られたらすぐに
隠れる所を探そうっていって
潤とふたりで家から
いろんな物を持ち寄ってちょっとや
そっとの雨風は防げるほどの
俺たちにしては立派な
秘密基地になった
潤は自転車を押しながら
やってきた
しょおくん待たせてごめんね
俺もさっき来たばっかり
いつものように基地に向かおう
とすると…
しょおくん今日はこれから
海……行かない?
えっこれから
行ってもいいけど…帰るの遅くなるよ
俺は平気
どうしてもしょおくんと
今海に行きたい
じゃわかった
なら俺も自転車持ってくるよ
しょおくんは持ってこなくていいよ
しょおくん前に乗って
俺後ろに乗るから…
ニケツすんの?
見つかったら怒られるぜ
うんわかってるけど
この坂くだりしょおくんの運転で
降りてみたい
いいけど…じゅんいつも
怖いって言ってんじゃん
うん怖いよ
だからしょおくんの後ろに乗って
風を受けたいの
やっぱりダメ?
そんな顔でまん丸のその目で
言われると断る理由がないよじゅん
いいよ
じゃしっかり捕まるんだぞ
違うって
ちゃんと俺に捕まれって
じゅんは俺にしっかり捕まって
じゅんの頬が俺の背中に熱を送り込む
俺の腰に回した手はぎゅっと
力が入った
じゅんの心臓の音が俺にも聞こえる
長い長い下り坂を
じゅんを自転車の後ろに乗せて…
ブレーキいっぱい
握りしめて
ゆっくりゆっくり下っていった