【中山記念】

○単勝人気・オッズ別傾向

中山記念は、近年では、1600～2400ｍのレースが特に重要視されることや、ドバイ・香港といった国際G1へのステップとしてちょうどよい時期に施行されることから、かなりハイレベルなメンバーが集まることの多いレースで、レーティングでも、かなりG1レベルに数値になることもしばしば。

そのようなこともあり、人気傾向も、1・2番人気が過去20年で10勝、5番人気までで16勝と、比較的固めのレースといえそう。ただ、実力伯仲のメンバーが揃うことも多く、単勝配当自体は、5～10倍までがボリュームゾーン（9勝）となっている点は、忘れないで起きたいところ。

今年も出走馬9頭のうち5頭がG1馬。人気の盲点になっている馬の一発大駆けということもあるかもしれない。頭数それ自体が少ないので3連系であれば総流しなどで対応しておくのもありかも。

【データ傾向からの特注馬】

・期待値の高い単勝5～10倍程度までの馬

・過去の実績馬の激走に注意

○前走レース別傾向

近年の傾向でいえば、過去20年で8勝2着7回3着4回の暮れのG1路線後に休養をはさんで、春のG1路線に向かう実績馬を中心に馬券を組み立てるのがセオリーといえそう。

ただ、前走が暮れのG1組だけで1～3着を独占したケースは、近10年では０回。かならず、年明けに既に使っている馬（中山金杯・東京新聞杯・白富士Sからの馬が20年で7勝2着5回3着3回）や、長欠明けが1頭絡んでいることには注意しておきたい。

特に今年は、4（5）強ムード一色なので、その1頭が飛ぶだけでも配当は大きく跳ね上がりそう。

【データ傾向からの特注馬】

・秋のG1（香港含む）路線からの馬が中心（インディチャンプ・ウインブライト・ダノンキングリー・ラッキーライラック・ペルシアンナイト）

・前走白富士Sのエンジニア

・前走東京新聞杯のゴールドサーベラス

○年齢別・斤量別傾向

過去20年の年齢別傾向は下記のとおりで、実は高齢馬の激走が珍しくない。近年では、4～7歳まで4年連続で出走して3回馬券に絡んだロゴタイプの例がよく知られているが、その前には、バランスオブゲームの連覇（最後に勝ったのは7歳時）という例も。

４歳 6- 7- 7- 40

５歳 4- 5- 4- 41

６歳 5- 7- 4- 50

７歳 3- 1- 4- 39

８歳 2- 0- 1- 20

斤量別では、57kgが過去9勝2着7回、3着9回と数の上では最も優秀で、率でいえば、58kg（7勝2着3回3着7回）はさらによい数値。他方、55kgは0勝、56kgは2勝どまり（2着6回）と、軽量だから恵まれるというわけではない点に注意しておきたい。

【データ傾向からの特注馬】

・58kgのインディチャンプ・ウインブライト

・57kgのペルシアンナイト

・4歳56kg（1- 3- 0-23）のダノンキングリーは割引

・55kg（0-2-3-7）のラッキーライラックも割引

・同レースで馬券絡みの経験があるウインブライト・マルターズアポジー・ラッキーライラック

○血統傾向

中山記念はステイゴールド産駒というのは、多くの人が知っているデータで、実際にも過去の20年で10頭が出走して3勝（うち2勝はウインブライト）。昨年2着のラッキーライラックもステイゴールド産駒のオルフェーヴル産駒ということを考えれば、まさにステゴ系のためのレースといってもよさそう。

ステイゴールドの強いレースの多くは、ディープが苦手というのが相場で、ディープ産駒は、この20年では<0- 1- 3-12/16>と散々な成績。その父サンデーサイレンスも中山記念は得意とはいえず<1- 3- 4-36/44＞という結果、そのうち3着2回はリアルスティール、リアルインパクトの兄弟で、ダノンキングリーの配合はこれと同じディープ×ストームキャット。ただ、サンデーそれ自体は父系よりも母系に入っている方が中山記念としては相性が良いことは抑えておきたいポイントのひとつ。

もう少し掘り下げておけば、血統面でのポイントは、サドラーズウェルズ（の祖母スペシャル）とノーザンテースト。たとえば、中山記念のリピーターだったロゴタイプの父ローエングリンと、2010年の勝ち馬トーセンクラウンの祖父はサドラーズウェルズで、昨年の3着馬ステルヴィオの母父ファルブラウの父フェアリーキングはサドラーズウェルズの全兄弟。少し遠いところでは、2016年のアンビシャスの母系にもサドラーズウェルズの名前がある（母父エルコンドルパサーはスペシャルのインブリード持ち）。なお、トーセンクラウンが勝った2010年は、2着のテイエムアンコールとのオペラハウス産駒ワンツー決着（13番人気→12番人気）。

また、2015年の勝ち馬のヌーボレコルトの母父父ヌレイエフは、サドラーズウェルズとは近親関係（ヌレイエフの母がスペシャル）で、2018年の2着アエロリットにもヌレイエフの血が入っている。

また、ノーザンテーストについては、ステイゴールドの母は、ディクタス×ノーザンテーストのニックス配合だし、2017年のサクラアンプルール、2016年のドゥラメンテ、2013年のダイワファルコンなど、好走例は多数。

【データ傾向からの特注馬】

・ステイゴールド産駒のインディチャンプ・ウインブライト

・父父ステイゴールドで、母系にもサドラーズウェルズの血があるラッキーライラック

・サドラーズウェルズ系のフランケル産駒のソウルスターリング

○脚質別傾向

開催替わり開幕週の中山1800ということで、圧倒的に内枠の逃げ先行馬が有利。過去20年では、逃げ馬が3勝2着2回、3着4回、先行勢が11勝2着8回3着7回。昨年も大逃げの離れた2番手のラッキーライラックが2着で4番手から早め早めに進出したウインブライトが1着。今年も、引退レースとなるマルターズアポジーの単騎が濃厚となるだけに、同じような展開になる可能性が高いことは想定しておきたい。

また、馬番別でも1番～4番までで過去20年11勝（4枠までで12勝）と圧倒的に内有利。今年は小頭数の組みあわせとはいえ、枠番を無視して馬券を組み立てるのは避けたい。

ゲートに不安がでてきたダノンキングリーは、この点では気がかり。

【データ傾向からの特注馬】

・脚質問わず馬番4番までの馬

・逃げ・先行馬

○まとめ

実績馬が揃った組みあわせで、1頭に絞るのが逆に難しいレースといえそう。オッズ的な妙味が薄れれば、最後は決め打ちにして掛け金を節約するという選択肢もありそう。

また、上位人気の馬には、ウインブライト・ラッキーライラックの乗り替わり、インディチャンプの距離延長と、ダノンキングリーは出遅れ（脚質）といったウィークポイントがないわけではないので、必ずしも4強で決まる・・・というわけではないことも想定しておきたいところ。

個人的には、これが引退レースになるソウルスターリング・マルターズアポジーの激走にちょっとだけ期待してみたい。ソウルスターリングはサドラーズウェルズ系、マルターズアポジーはリピーターの逃げ馬ということを考えれば、激走の可能性もゼロとはいえない。

【阪急杯】

○単勝人気・オッズ別傾向

こちらは高松宮記念にむけたステップレースとなる一線。比較的好メンバーが揃いやすいこともあり、堅い傾向の強いレースだったのが、近5年は一気に波乱傾向に。この2年の勝ち馬はいずれも二桁人気の勝ち馬。また、3連系の相手にも人気薄が飛び込むケースが多いので注意しておく必要がありそう。

今年はダイアトニックが人気になる見込みとはいえ、ダイアトニック自体は、まだ重賞1勝だけの馬で、必ずしも信頼しきってよいだけの抜けた実績があるとはいえないだけに、狙いは広くもっておきたいところ。

期待値的には、単勝オッズ7～20倍のゾーンが優秀。

【データ傾向からの特注馬】

・単勝3～7番人気くらいまでの馬

・ヒモ穴は手広く

○前走レース別傾向

過去は前走阪神Cの馬を軸にしていれば、だいたい問題なかったが、このデータが崩れつつあるのが波乱の原因になっているといえそう。2016年以降は、前走阪神Cの馬は1頭しか馬券圏内にきていない（2018年モズアスコットのみ）。

今年は阪神C2着のフィアーノロマーノ、13着のマイスタイルが上位人気になると予想されているが、どうだろうか。

人気薄の激走パターンとしては、年明け（金杯以降）にレースをつかって負けている馬の巻き返し。とはいえ、それだけでは馬を絞ることも難しいので、それぞれの馬の敗因分析と、条件変更（距離の短縮・延長、坂のある阪神へのコース替わり）をチェックするのが馬券的中への近道といえそう。

特に今年の京都・小倉の馬場は天候の影響などもあってかなり特殊だっただけに、開幕週の阪神に変わって条件が一気に好転する馬がいれば狙ってみたいところ。

ちなみに、前走距離別では、前走1200ｍからの距離延長組が過去20年6勝と数の上では最も多い。坂のない京都・小倉から坂のある阪神へのコース替わりということで距離延長が嫌われがちだが、データとしては逆になっていることは抑えてきたい。

【データ傾向からの特注馬】

・コース実績があり、距離延長で条件が好転しそうなハッピーアワー

・距離短縮がよい方向にでる可能性の高いステルヴィオ

・ここ狙いで叩いてきた可能性のあるニシノフラッシュ（2018年同レース4着）

・良馬場なら鋭い差し脚が期待できるレインボーフラッグ

○枠番・馬番別傾向

１枠 3- 4- 1-18/26

２枠 4- 2- 5-16/27

３枠 1- 2- 4-20/27

４枠 0- 1- 1-25/27

５枠 1- 0- 0-27/28

６枠 1- 1- 1-25/28

７枠 3- 2- 0-26/31

８枠 2- 1- 2-26/31

開幕週の阪神内回りということで、中山記念と同様に圧倒的に内枠が有利。1-3枠で、8勝2着8回、3着10回。それに次ぐのが7・8枠。昨年も、最内をロスなくまわったレッツゴードンキが久しぶりの勝利となるところを大外一気のスマートオーディンが差し切り勝ち。

内回りということでポジション取りが厳しくなる分、真ん中の枠は取りたいポジションにいけないリスクが高いと理解するとわかりやすいだろうか。

【データ傾向からの特注馬】

・脚質問わずに内枠の馬

・外の馬は追い込み馬かテンにいける馬

○まとめ

近走成績では抜けた馬がいないので、単勝オッズはかなり割れそう。仮に、重賞を1つ勝っただけのダイアトニックやフィアーノロマーノがすこしでも抜けた人気になるのであれば、疑ってかかってみる価値も十分ありそう。

他方、すでにG1実績のあるステルヴィオは長欠明けが嫌われて人気が落ちるようなら、逆にここが狙い目ともいえそう。ロードカナロア産駒自体は、距離短縮に強い種牡馬なので、狙うならココという気もしなくはない。なお、距離短縮となるロードカナロア産駒はダイアトニックも同じ。

人気以上に実力が伯仲している組みあわせなので、3連系は何がきても良いように手広く構えたい。特に、前走大敗馬の巻き返しは、このレースでの穴馬パターンなので、簡単に見限るのは危険といえそう。

阪急杯と中山記念、無観客レースでどうなるか？過去のデーターをまとめてみました。