今日、10月14日(金)の北海道新聞朝刊
「朝の食卓」のコーナーに、
コラムを掲載していただきました
今回は、ほんのちょっとだけ
タイを絡めて書かせていただきましたよ。
さて、タイと言えば。
コレ、ご存じの方いらっしゃるかな?
不思議にオリエンタルでカワイイでしょ?
名前を、“プラー・タピアン”と言います。
タイをはじめとするインドシナ半島の各国を流れる
メナム川(チャオプラヤー川)に生息している
タピアンという魚をモチーフにしたモビール。
素材は、ヤシの葉っぱ。
これを細く裂いたものを2本使いながら
お魚の形に編んでいきます。
形が出来上がったら、そこに思い思いに
カラフルな色を付けて完成。
タイでは昔から、ゆりかごの上に吊るして
赤ちゃんをあやすのに使ったり、
福を呼び込もうと玄関や店先に飾ったり、
縁起の良いものとして親しまれています。
先日、MCをさせていただいた世界旅行博。
タイ国政府観光庁のブースでは、
このプラー・タピアンの制作実演がありました。
とは言っても、時間がないので
色を塗る前、組み立ての段階まで。
出来上がったベージュ色のプラー・タピアンは、
実演を見てくださった来場者に
ひとりひとつずつ、プレゼントしていました。
材料がなくなり、最後のひとりになったとき。
長い時間、並んで待っていたその女の子は、
お母さんと手話でお話ししていました。
それを見たタイ人のスタッフは
MCの私にチラッと目で合図をして、
作りかけのプラー・タピアンを手に
ステージ裏へと消えていきました。
女の子は、もらえなくなってしまったのかと
少し不安そうだったので、
私は、「ちょっと待っててね」と
手で合図をして、待つこと数十秒・・・。
戻ってきたタイ人スタッフの手には、
さきほどまで展示品として飾ってあった
鮮やかな赤い色をしたプラー・タピアン。
てっきり、色を付ける前のものを
もらうつもりでいた女の子は、
思いがけず、真っ赤なプラー・タピアンを
手渡されて、ビックリしながらも
目をキラキラと輝かせていました。
タイの人たちの、こういったさりげない
優しさや気遣いが、私は大好きです。
言葉は通じなくとも、きっと伝わった思い。
10年後か20年後か。
あの女の子がタイを訪れることがあったら、
彼女のキラキラした目に
タイという国はどんなふうに映るのだろう?
みなさんもご存じの通り、
いまタイでは洪水による甚大な被害が出ています。
日本の工場も水に浸かってしまい、
生産ラインに大きな影響が出ていることは
新聞やテレビで報道されていますが、
市民の生活のこと、本当に心配です。
3月11日に起きた東日本大震災の際には、
日本のことをとても心配してくれたタイの人たち。
今度は、私たちが協力しなければ。
これ以上、被害が拡大しないように、
そして一日も早く水が引いて
元の生活に戻れることを祈っています。