※画像は後々添付します。
前日から迷っていたことがある。
…坂本龍馬像を見に行くか否か。
浦戸湾を通過する際に橋ではなく、渡し船に乗ってみたい。
せっかくだし!
でも渡し船に乗ると、龍馬像がある桂浜まではちょっと逆方向に戻らなくてはいけないのだ。
わざわざ遠回りしてまで見なくても…とも考えたが、やっぱり高知に来ることなんてそうないし…。
とりあえず32番禅師峰寺を打ち、渡し船に向かう。
道が入り組んでいてわかりにくいので地図を見ながらルートを確認すると、とんでもないことが書いてあった。
「渡し船は廃止しました」
…まじ!?
私が持ってる遍路本は2冊。
1冊目は「四国お遍路バックパッキング」という本でこれは四国に入ってすぐ今治で購入した。
2冊目は青空屋の主人に促されて買った「へんろ道保存協会の地図」。
へんろ協会の本は大きいのでよっぽど道に迷った時にしか出さず、いつもバックパッキングの本を見て進んでいた。
しかしどうやらこのバックパッキングの本は発行年数がやや古いようで、ちょいちょいこんな事があるのだ。
あー、渡し船乗ってみたかったなぁ…。
ということは、浦戸大橋という橋を渡るしか道はない。
地図でみると浦戸大橋からは桂浜は近いようだ。
よしゃ!龍馬像に挨拶にいこう!
浦戸大橋を通り過ぎると「桂浜」の標識が。
お!やっぱ近いん…やん?
桂浜の方向を示す標識は何故か山の中へ向いていた。
上り坂。
桂浜って海岸なんじゃ…ないの?
予期せぬ坂のぼりにちょっと気持ちをくじかれる。
途中から路肩がなくなり、大型観光バスがバンバン横切り怖い。
なんとか桂浜到着。
龍馬像を拝顔。
想像よりかなりデカい…。
丁度「龍馬に大接近」というキャンペーンが行わており、龍馬の隣に工事現場のやぐらみたいのが立っていた。
どうやらそれに登り、龍馬の顔の高さまでいけるようだ。
無料ということなので登ってみた。
おー、ちょんまげまでしっかり見えるぜよ。
やっぱ来てよかった!
さぁ桂浜も満喫したし、サクサクいこう。
33番雪けい寺、34番種間寺をサクッと打ち、35番清滝寺へ向かう。
ここは清滝の名前通り山の上にある様だ。
坂の距離は約1.3kmぐらい。
まー、行くしかないぜよ!
しばらく登ると道の両側がみかん畑になった。
みかんトンネルをくぐり抜けるのは気持ちいいが、鶴林寺も途中までみかん畑だったのでちょっとトラウマが…。
だけど…ここのみかん…なんか…デカい?
近づいてよくみるとかなり大きい。
小玉すいかぐらいあるような…。
それになんか皮がかなり厚そう。
これで殴られたら痛いだろうな…。
勾配はそこそこだが、道が狭い上にボコボコしてるので進みにくい。
しかも乗用車でもすれ違いにくいのに、マイクロバスがズンダカズンダカおりてくる…。
ガードレールなんか無いので一歩踏み外せば落ちそう…。
なんとか清滝寺を打ち終え、次の青龍寺へ。
何故か青龍寺は山の上だとばっかり思っていたので、気合いをいれていた。
が、全然坂もなく平地でスムーズに訪れることができる寺だった。
門前に珊瑚加工職人さんのお店があり、大きなわんこがいたのでしばらくビタミンW(わんこ)を補給させて頂く。
ご主人に今日は土佐国民宿舎に泊まる旨を告げると宿舎の人は知り合いだからと、電話してくれた。
電話したら迎えに来てくれるんだそうだ。
自転車なんでいいですよ~と言ったが、軽トラで迎えに来るから大丈夫とのこと。
なんか色々悪いなぁと思ったので、高知の赤珊瑚を花びらの形に加工したキーホルダーを購入。
赤い花びらが桜みたいでキレイ。
オマケにお大師様の珊瑚も頂いた。
「これつけてると、お大師様が守ってくれるからね」
とのこと。
そういう言葉にはすごく弱いので早速バックに装着!
しっかり守ってちょうだいね!
しばらくすると宿舎のおっちゃんが本当に軽トラでやってきた。
自転車を荷台に載せてもらい、私は助手席に座る。
山道を進む。
え、国民宿舎ってこんな山の中にあるの?
そしてふと考えた。
「…安易に乗っちゃたけど…この人本当に宿舎の人なのかな…?…実はさっきの珊瑚屋さんとグルで山奥に連れて行かれたりして…。
自転車は後ろやし…
でも財布と携帯はポケットあるから何とかなるかなー…」
とかぼんやり考える。
私はこういう最悪の事態を妄想してしまう癖がある。
仕事中に「今地震がきたらあそこに隠れよう」とか、電車に乗ってて「今電車が横転したらあの棒に捕まろう」とか。
その場面を想像して、危険をなんとか乗り越える自分にゾクゾクするのだ。
こうして文字に起こしてみると自分の変態加減に驚く。
多分なんかの精神病なんだろう。
まぁ当然だが無事に国民宿舎に到着する。
あちこちでこの国民宿舎はイイと聞いてはいたので、ここに泊まるのはすごく楽しみにしていた。
なんでもお遍路さんのベースキャンプ的な宿になっているらしい。
外観トルコっぽくてかわいい!
山の上にあるだけあり眺めも抜群!
しかも女性用ドミトリーは今日は予約が一件もないそうで貸切!
いえーい!
さっそく露天風呂に入る。
ここの露天風呂の解放感はすさまじい。
どのくらいすさまじいかというと外から普通に歩いて男湯に行けるぐらいすさまじい。
柵も何もない。
あるのは山と海の景色だけ。
人工物は海の上の船ぐらいかな。
漁師さんヤッホー!
見えてるー!?
仁王立ちで手を降ってみる。
本当にここは、全裸で草原にいるような気分になる。
そんな気分にさせてくれるとこなかなかないよ…?
パラパラと晴れ雨がふってきた。
狐の嫁入りだ。
すると空に虹がかかった。
もう一緒にはいってたおばちゃん達とキャアキャアいってはしゃぐ。
あー本当にココ最高!!
ルンルン気分で風呂を上がる。
ここであることに気づく。
…夕飯…買うの忘れてた…。
なんだかトントン拍子でここまで来てしまい、買物に行くのをすっかり忘れていた。
まー…たまにはしゃーないか…。
いちおう非常食用にミニマグという小さなインスタントラーメンをもっていたので、お湯をもらいそれを食べる。
寂しいのでお湯を継ぎ足し継ぎ足ししなが食べた。
「…あんた…夕飯それだけか…?これ食いや…?」
知らないおじいちゃんに心配され、芋ケンピを頂く…。
ポットを返さなくちゃいけないので、部屋で食べず、フロントの隅っこで食べていたのだ。
あ…なんかここで食べてたら「これしかないんですぅぅ!!! 」って物乞いみたいかな…いかんいかん…。
退散しようと思い、片付けていると芋ケンピのおじいちゃんから呼ばれた。
芋「ちょっとこっちで話さんかね?」
みると、芋じぃと若者夫婦がロビーでプチ酒盛りをしていた。
まぁ芋ケンピもらった私に断る権利はないだろう。
なんでも芋じぃと夫婦は元々の知り合いではないらしいが、歩き遍路中に知り合いここまで一緒に来たそうだ。
「僕達は初めてのお遍路なんですけど、この先生はもう8周目らしいんですよ。だから色々教えてもらいながら周ってます。」
と若い夫婦の旦那さんがホロ酔いで言った。
「8周歩くのもすごいけど、それだけのお金があるのが悠々自適でいいですよねぇ…」
夫婦の奥さんが言った。
旦那「僕はね、バス遍路が許せないです!あんなのちっとも修行にならないでしょうが!お遍路をただの観光と勘違いしてる!寺では大声でぎゃあぎゃあうるさいし!ああいうの俗物遍路っていうんですねぇ!?」
芋ジ「でも寺が一番儲かるのはああゆう連中がきたときだからねぇ…バス一台来たらいくら寺に入るか知ってるかね?昔は納経もタダったのに段々値上げしていって…。寺の連中はね、寺の改築には金をかけるけど遍路道の修繕には無頓着なのが多いからね…。荒れ果てて通れなくなった道もあるんだよ…。」
奥さん「……。」
うろ「……。」
よくよくこの3人の話を聞いていると、
芋ジィ→世話好き、話したがり。
旦那→芋ジィ尊敬、話したがり。
奥さん→芋ジィ苦手、旦那と2人で回りたい。でも旦那に合わせてる。
という関係の様だ。
旦那「うろちょろさんはちゃんと寺でお経あげてますか?!」
うろ「まぁせっかく来たんであげてますね…」
旦那「えらい!昨日もね?男の子がね?ちょっと手あわせるだけ!すぐ納経所へ直行ですよ?寺のサイン集めるスタンプラリーかなんかと勘違いしてんだよねー」
奥さん「…周り方はさぁ、人それぞれだから好きなようにやればいいんじゃないの?私はバスもありだと思うけど。足が悪いけど回りたい人もいるだろうし」
芋ジ「まぁ自分で回れないからって納経帳や掛け軸をお金だして買う人もいるからねぇ…だから一時期は掛け軸泥棒が出たりもしたんだよ。イイ値段で売れるからねぇ…。」
あー、1人で来て13枚とかいっぺんに白衣に納経してもらってる人とか何で!?と思ってたけど、売れるのか…。
土佐の夜はこうしてうだうだとふけていった。