番外編になるんですが、園子温監督『地獄でなぜ悪い』の感想です。
ちなみに配偶者が書いたものを転載したものです。


男の子の失敗はどうしようもなく恥ずかしい
とくに思いこみたっぷりの思春期の失敗は
消してしまいたいくらいに恥ずかしい
けれどそのどこかに強い情熱があったので
大人になって消してしまう事はなんとなくもったいない

ステレオタイプなやくざの抗争が
男の子の恥ずかしい一途な情熱を支えていた
その描き方がなんとも温かい
強い思いこみに、パンチの効いた大人の世界が
チャンスをくれる嘘臭さをもうひとつ遠くから
すごいスピード感と自己肯定感たっぷりに
笑いをばら撒きながら話は進む

とか思って観ていたら途中からあれーってくらいに
血のり感たっぷりにみんな死んじゃうんですね
もう、ほとんどみんなぶち壊して死んじゃう。
笑いながらどいつもこいつも、あれれーって死んじゃう。
思いこみが過ぎるとバランス感を失って、
結局こうなるぜ、と思わせそうなラストまで

観ている僕もまあそうだよねえと苦笑い

それでも思いこみでなぜ悪いと
恥ずかしさ満載でそのままなにも事を成さなきゃ
どうしようもない男がその思いこみの宝箱を抱えて
死体をかきわけ雨の街をひたすら疾走する


自分の思い込みが詰まった宝箱(フィルム)を沢山抱えて
ただ走るシーンに「そうだそうだ」って拍手したい気持ちになった
その男が蒲田行進曲的(?)にフレームから消えるけど
神様がくれたチャンスを逃さずに撮影したフィルムを
落としたり、抱えたまま倒れてやっぱり死んでしまったら
なんか困るなと思って映画を観ていたから
本当の撮影現場にフィルムが回収されるようなラストは
監督の思い込みに対する温かさを感じて
実際に7割思いこみで生きてる僕は救われた気持ちになりました