今日の読書感想文は...ちょっと表紙がコワい(^^;)
戦後「デカダン派」と称され、太宰治などと共に注目を浴びた坂口安吾の代表作です。
この人の作品はDS文学全集で「堕落論」を読んだっきりだったんですが、あれは評論だったけど、こちらは小説。
近所に住んでいた白痴夫婦。ある日女のほうが主人公の家に転がり込んできて、奇妙な同棲生活が始まる。
女を匿いつつ生活し、空襲の中、女を守るようにして火の中を逃れる男が最後に思ったこととは...
そんな表題作「白痴」をはじめ、戦時中・戦後まもない日本を舞台にした7つの短編集。
作風は...なんか表紙の通りって感じでちょっと倒錯しているというか、えっちぃというか笑
当時の混乱した社会や世相をよく反映していて、なおかつちっとも美化していないところに好感を覚えました。
あたしの世代が子どもの頃学校で習った「戦争」といえば、みんなが一致団結して、竹やりの訓練なんかして、「日本ばんざーい!」とか叫んで、負けそうになったら自決するとか、そういうイメージだったんですけれど、
この小説たちの主人公はほとんどがそうでないんですよねー。戦争に対して冷めた目を持っているというか...
これが本当の当時のリアルだったのかなぁ、とか思ったりして。
主人公たちは太宰治の小説に出てくるようなどうしようもないオトコや娼婦的な女性ばっかりなんですが、個人的には太宰治よりも惹かれるものがありました。
ひとつひとつの言葉、フレーズを、じっくり味わって読みたくなる。
短編なんだけど、どの作品にも必ずグッと心を打つ一言があったりするんですよねー。
そんなわけでまぁ、こういう作風なので好みは分かれるかと思いますが、☆4つで。
探偵小説など、ちょっとジャンルの違うものも書かれているようなので、もっと読んでみたいと素直に思いました(^^)
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