渡部「なんか。真夏は意気揚々としてるが、あとの二人は不本意そうだな(汗)」

美彩「うん。そうだね・・・・・。」

 

さて、どう話を切り出そうか思案していると、真夏が沈黙を破り話し出した。

 

真夏「どうかな?着物似合う???」

渡部「へっ???」

真夏「だからぁ~~~、着物似合ってるかなって。どう?」

渡部「まぁ、良いんじゃない???ってか、何なのこの状況。なんで若とれーかまで着物着てるんだよ。」

若月「それは、私が話すね・・・・・・・。」

 

若月によりとこういうことだった。いきなり真夏がどこからか着物を調達してたそうだ。そしたらなぜか二人の分もあったということらしい。真夏曰く一人じゃ恥ずかしいから、という理由だそうなのだが。いちいち和装せんでもと思うのは俺だけではないはずだった。

 

渡部「つーかよ、お前またいきなり帰ってきたな。留学行く~~~とか言って突然出て行ったと思ったら。しかもなんかエリちゃんのとこにいたらしいじゃん。何がしたいわけ???」

真夏「えっ?ただみんなに会いたくなったから。あともう留学の予定期間もとっくに終わってるしね。それでけじゃダメ???」

美彩「いや、ダメってわけじゃないけど。連絡くらいしなさいよ、真夏。みんなそれなりに心配したんだよ。行方不明だ~~とか、誘拐された~~とか。」

真夏「そこはゴメン。帰って来るのはただビックリさせたかっただけだし、留学行くのも寂しかったから誰かに言っていくのがね。泣いちゃいそうだったから嫌だったの。だから・・・・・。」

渡部「あ~~~。わかったわかった。そこら辺でいいだろ、もう。まっ、みんなを心配させたことは反省しろよ。ったく。」

真夏「うん、ありがとう。裕也先輩。・・・・・・・、あともうユウ君って言っていいかな。私たち許嫁だしね。」

美彩「!!!!!!!」

御剣「えっ!!!兄貴ってもう美彩さんと結婚の約束してるんじゃ???」

矢部「あっ、バカッ!!!」

真夏「えっ?結婚??」

生田「そ~なの???」

若月「なにが???」

桜井「なんで???」

 

実はそうなのである。俺と美彩はあの事件後すぐにこんな約束をしていた。

 

「美彩が学園を卒業したら結婚する。」

 

これは俺から提案したことなのだが美彩もこれを了承してくれて、卒業後に同居を始める予定だったのだが。そこへ飛鳥の件。ならどうせならもういっしょに住んじゃえと言う半ば強引な美彩の意見に乗っかった結果が現在の形だった。

 

真夏「ねぇ、私。許嫁、だよね・・・・・。」

美彩「ねぇ、裕也。どういうこと???」

前者は泣きそうになりながら、後者は笑ってはいたがその奥の目は笑っていなかった。

渡部「ふぅ。非常にマズイことになった。」

 

俺は思わず天を仰ぎ見るのだった。

御剣「ここが・・・・・。ここがあの有名な乃木坂学園女子寮。」

矢部「そんな有名だったっけ?」

御剣「バカ。俺たち男にとっちゃあ禁断の領域。開かずの間みたいなもんだろ。そこへ入れるんだぞ。うおおっ!!!」

飛鳥「・・・・・・。」

渡部「まぁ有名なのは確かだわな。こんな外観の女子寮、イマドキないだろ。たぶん。」

 

女子寮の外観は白を基調としていて、バロック建築を思わせる作りになっていた。協会と見間違える人もいるんじゃないかと、そんな感じだ。

 

重厚な門を開け、中に入るとこれまたゴージャス。高級ホテルのロビーかなんかじゃないのかと思ってしまうほどである。

 

矢部「先輩。なんでこんなに豪華な作りになってるんです??」

渡部「なんか聞いた話じゃ、昔の理事長がフランスやらイギリスやらが大好きだったみたいで金に物を言わせて作ったんだと。」

美彩「そこがまぁいろいろあって、今は学園の女子寮になってるわけ。あっ、ここだよここ。入って。」

 

美沙が勝手知ったる感じで扉を開けると、今までの内装や外観とは似ても似つかぬ畳敷きの和室が現れた。

御剣「どーゆう理事長だったんすか。前任の人は・・・・・・。」

渡部「知らん。まぁ、かなりの変わり者だったってことは解るがな。」

 

ご丁寧に靴箱まで完備されていた。そこに靴を置き、和室へあがると同時に部屋の奥からなぜか和装の若月佑美、中田花奈、桜井玲香が出てきた。順に青、緑、桃の色を基調とした和服姿だった。

 

美彩「ねぇ、なんで??なんであの3人和服着てるの???」

渡部「俺に聞かないでくれ(汗)」

 

なぜに3人がその姿なのかは真夏以外皆が知らず、俺たちは驚きを隠せなかった。

かかってきた電話から、ものの数分で俺たちはまいやん達が住む寮の前にいた。

 

渡部「あぁ、ユウウツだ。辛い、帰りたい。」

美彩「あはは(汗)」

御剣「お~~~、こんなまじまじと女子寮見たの初めてかも。」

矢部「俺も。」

飛鳥「・・・・・・・・・・・・・。」

 

すると、前触れもなく扉が開きショートカットの女の子とロングヘアの子が出てくる。

美彩「あっ、未央奈。それにみなみ。」

 

堀未央奈とその親友、星野みなみである。

 

未央奈「美彩さん・・・・・・・。」

みなみ「あっ、美彩だぁ。」

 

二人とも笑顔ではあるがどこかバツの悪そうな顔をしていた。美彩はすぐにその異変に気付く。

 

美彩「どうしたの2人とも。もしか・・・・・・・。」

 

異変の現況っぽいやつが俺たちの前に現れた。何と言ったらいいかわからない不思議な表情をしたまいやんを引き連れて。

 

???「あ~~~、美彩に飛鳥。いくちゃんに、それに裕也先輩。お久しぶりですぅ~~~~~~♡」

そいつは満面の笑顔でそう言った。

 

美彩「真夏。」飛鳥「真夏だ。」

矢部「真夏。って誰ですか???」

渡部「アイツだよ。。名前は、秋元真夏。」

御剣「秋元真夏??ってあの秋元真夏ですか!?2年前にいきなり海外留学に行ったって言うあの!?」

渡部「そう、そいつだ。そして、俺や美彩やエリちゃんとは腐れ縁でな。いろいろあるのさ。ははは。」

 

話の途中に真夏がまいやんに腕をからませたのだが、一瞬彼女の顔が引きつったのを俺は見逃さなかった・・・・・・・・。

 

真夏「そこの二人ははじめましてかな?秋元真夏です。ヨロシクね♪♪」

矢部「あっ、どうもご丁寧に。俺は矢部隆史って言います。ヨロシク。」

御剣「御剣秀っす。ども。(ペコリ)」

飛鳥「ねぇ。ここで話のもなんだから中に入ろうよ。」

渡部「そうだな、そうするか。」

矢部「えっ!?まさか女子寮に!?!?」

御剣「マジっすか!!!!!」

生田「入ろう入ろう。」

矢部「いっ、良いのかな・・・・・・。」

美彩「良いの良いの、私たちもいるし。さぁ入った入った。」

 

そして俺たちは、乃木坂学園女子寮に足を向けた。