「松山千春『Massage』に思うこと~松山千春 全作品解説16~」S2138

 

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◇更新履歴

V1.1:2014.04.01 松山千春選曲ベストアルバムの収録有無を追加した。

V1.2:2021.10.15 歌詞、所有アルバム画像等の追加

V1.3:2023.05.22 オフシャル動画・音源へのリンク及び是正

 

■「Massage」編曲者:大石学

オリジナル:1988年11月28日リリースのアルバム『Message』のB面4曲目(CD9曲目/全10曲)

 

  

◇松山千春選曲ベストアルバム『季節の旅人~春・夏・秋・冬~』 DISC1(春)の11曲目

 

 

◆所有収録アナログ・アルバム

◆所有収録ミュージックテープ・アルバム
◆所有収録CD・アルバム

 

◆2014.2.14 夢野旅人(2021.10.15加筆)

自分が知る限り一度だけコンサートツアーでこの曲を一曲目に歌ったときがある。喉の不調が続いた1989年秋の『ISHI』ツアーでの名古屋センチュリー公演である。

 

そのときは、アンコールも一回、一曲のみで幕が降り、終演のアナウンスが流れた。(アナウンスをかき消すカーテンコールで2回目のアンコールが始まった。)

 

このツアーで「Message」を歌ったのはその時だけだったと思う。

歌えないかもしれない。

そんな窮地にたったとき。

 

♪歌えるうちに歌っておきたい 心のすべてを想いを 
やがて諦めが言葉を奪い ため息に声を失う♪ 

と、歌うこの曲を一曲目に選んだ。

 

千春が、コンサートで歌う曲の選曲はいたって自分自身に正直である。

 

狭心症で倒れ復帰となる2008年秋のメニューに「DON DON」が、

選曲されたのも、歌詞にある、

 

♪くじけちまった俺の心を お前が優しく包んでくれる 

愛しておくれもっと激しく 戦う心が蘇るまで ♪

 

まさしく、そんな心境だったのでしょう。

 

「Message」の編曲は大石学。

リリース時、クレジットを見て、きっとピアノが主体で美しいサウンドの作品に仕上がっているのだろうと思ったら、アコースティックギターのシンプルなアレンジだった。 

 

フォークシンガー松山千春のフォークソングとは何か、フォークシンガーの所信表明だなと思った。ただ松山千春のメッセージソングとして最高峰だけど、音楽として好きか嫌いか、ライブで是非とも聴きたいかと訊かれれば普通。当時はそう思った。

 

それが、前述の一曲目に歌ったことで、そして「intentional'92-'93」で、本編ラスト前の一曲として歌われラストの「男達の唄」や「旅路」へ、いざなうアプローチを見たとき、じつにライヴ映えすると思った。

本編ラストの歌と繋げると、それぞれの歌の説得力が増して聴こえる。

 

2001年。松山千春デビュー 25周年記念ベストアルバム『季節の旅人~春・夏・秋・冬~』のリリースに合わせて、月刊SAGA3で本人による全曲解説がされている。

 

その中で『Message』について以下のように語っている。

 

~アルバム全体のバランスを崩すことになりかけても、それでも、聴いてほしい、耳を傾けてほしい、というのが俺の素直な願い。~


~アマチュア時代、主に反戦歌を歌っていた。それは当時のフォークソングの主流が反戦歌だった。 そしてもうひとつの理由があった。

あの頃は、とにかく世の中が、時代が悪い、それこそベトナムに意味のない戦争を仕掛けたアメリカが悪いと、何でもかんでも敵を作らなくては燃えてこない自分がいたわけだ。要するに、何か敵対するもの、仮想敵国を自分の中で作らないと主張するものが見つからないという状況だった。

しかし、あれから月日を重ね、ひとりの、人間として、シンガーとして成長を重ねていくうちに、その常に仮想敵国を作らねば燃えない、戦えないことが、幻想でしかなかったということを知った。

 

例えば、今の体制が悪いと叫ぶ男がいたとする。そいつは、その想いを歌に託して叫ぶ。そいつは、いつかの俺だったりもする。だが、突き詰めて考えていれば、その悪いと評される体制を形成しているのは誰かといえば、俺たちひとりひとり。


もしかしたら、反戦歌と呼ばれる、または反体制を旗頭にしたフォークソングというのは、自分自身に反省を促す自問自答の歌なのではないか。時代が悪い、社会が悪い、政府が悪い、あの国が悪い、この国が悪い。しかし、大事なことはそんな第三者的な批判の発想から早く脱却して、もっと内面的に自分を見つめ直す、反省を促すことなのではないだろうかと、と。

 

その考えにいたった俺は、やたらと世間や時代に噛み付くような歌を捨てた。まず自分たちが変わらなければ、よりよい社会は構築できない、幸福も追い求めることができない。

そんな曲作りに変質していった。 

 

そのメッセージを込めた代表的な一曲がそれこそ、この「Message」。~

 

この文書を読んだとき、この曲のもつ説得力、なにゆえ松山千春のうたには説得力があるのか、わかったような気がしました。

 

◆歌詞及びオフシャル動画・音源


歌えるうちに歌っておきたい 

心のすべてを想いを 

やがて諦めが言葉を奪い 

ため息に声を失う 

woh… 

 

歩けるうちに歩いておきたい 

ただまっすぐにひたすら 

昔は良かったと何度も何度も 

懐かしさに涙を流す 

woh… 

 

空しさの中で夢におぼれて 

臆病な男になり下がる前に 

 

歌えるうちに歌っておきたい 

心のすべてを想いを 

戦えるうちに戦っておきたい 

力の限りつきるまで 

 

おりこうさんねと頭をなぜられ 

くやしさ苦笑いに変える 

woh… 

 

愛せるうちに愛しておきたい 

確かに生きた証しを 

常識のわくを飛びこえるには 

燃えつきるほどの愛を 

woh… 

 

空しさの中で夢におぼれて 

臆病の男になり下がる前に 

歌えるうちに歌っておきたい 

心のすべてを想いを 

やがて諦めが言葉を奪い 

ため息に声を失う

 

歌えるうちに歌っておきたい 

歌えるうちに歌っておきたい 

歌えるうちに歌っておきたい

 

◆E. 松山千春全作品に思うこと~松山千春全作品解説5~1988-1989

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