~イライラをワクワクに変える~コミュニケーションワークショップ『きもちとニーズ』を実施しました | 開発教育 あしたのきのう

~イライラをワクワクに変える~コミュニケーションワークショップ『きもちとニーズ』を実施しました

6月25日土曜日


イライラをワクワクに変えるワークショプ、第二回目を開催し、4名の方に参加いただきました。




① アイスブレーキング


※アイスブレーキングとは…ワークショップなど参加型の学びの場で、初めて会う人同士が話しやすい雰囲気を作るため、緊張をほぐすゲームや活動をすること。心や体を氷(アイス)になぞらえ、それを壊す(ブレーク)して溶かすという意味がある。


今回は、お1人がお子さんのお世話中だったので、座ってできるアクティビティ。


お題をポンポンと言っていき、その場で当てはまれば手を挙げるという簡単なもの。大人数だったら、イスを丸く配置して、当てはまったら席を立って空いているところに移動するというのも動きがあっていいと思います。そう、昔よく教室でやったフルーツバスケットの要領ですね。今回のお題は、こんな感じでした。


「昨日はよく寝られた」
「今ドキドキしている」
「サッカーより野球が好き」
「夏より冬が好き」
「朝食はパンを食べた」
「都会より田舎が好き」
「キャンプより温泉が好き」
「肉より魚が好き」
「最近、運動が足りていない」
「ぞうよりもキリンが好き」


あまり深く考えなくてもいいようなゆるめの内容にするのがみそ。あと、食べ物とか生活とか、身近な話題にするといいと思います。みなさん、ちょっと微笑みながら、苦笑しながら手を挙げて下さいました。アイスブレークその2は2人一組で話します。ペアを代えて2回行ないました。


話すお題は…


1回目:「前回の参加から今回までの変化」もしくは「今年できるようになったこと/なりたいこと」
2回目:「今日の期待」


・前回実践した傾聴を職場でやってみた。質問したところをぐっとこらえて話を聞いたら「なんだかすっきりした」と相手に言ってもらえた


・今まさに、対立を抱えています!何か少しでも学べたら…


という声が聞かれました。


② ロールプレイ


※ロールプレイ…ロール(役割)をプレイ(演じる)することで、ある状況を設定して、その役になり切って演じてみる。


前回も最後に少しやってみたロールプレイ。今回は2つの場面で演じます。


まず一つめ
Aさん:外回りから帰ってきたばかりで汗だく
Bさん:内勤。冷房が苦手


という設定で、行いました。


1度目は、「おそらくこうなるだろう」という展開を演じます。参加者が3名だったので、一人は同僚という設定で二人のやり取りを見ていてもらいます。すると。。。なんと1度目で決着したようです。


やり取りを簡単に書くと、
A「お疲れ様でーす。暑いなぁ」
B「外は暑いんですね。カタカタ(パソコンを打つ)」
A「ちょっと冷房の温度下げてもいいですか?」
B「いいですよ。ピッ(リモコンで温度を下げる音)」


今回のワークショップではやりとりを図で振り返りました。


●対立点●
Aさん:冷房をつけたい 

Bさん:(本当は)つけたくない

●きもち●
Aさん:暑い 

Bさん:特になし(外は暑いんだ、と思っている)


●ニーズ●
Aさん:涼しくなりたい、がんばってきたので配慮してほしい 

Bさん:やり取りの中では見えなかった


●背景や価値観●
Bさん:従ったわけではなく、後で温度を下げようと思っていた。(その場でいったんはAさんの気持ちやニーズをくむ)


Bさんを演じた方から
わざわざ争う必要はないし、あとで快適な温度に設定を変えればいいかなと。いつもこういう感じでやっている
というコメントがありました。


確かに、会社の同僚ということであれば、こういう結果になるのが普通かもしれませんね。今まで私がワークショップをやったときには、ここで決着しない場面が多かったように思います。みなさん、無理やり演じていたのかなぁと思うと少し反省です。


では、次の設定はどうでしょうか。


Aさん:休日にどこかに出かけたい

Bさん:家で休みたい

という設定で、行いました。


Aさんの「次の休みどこいこうか」から始めてもらいました。


先ほどのロールプレイと違い、どちらのペアもかなり盛り上がっています。決着はしなかったようです。そして、お互いのニーズに着目してもう一回行ないました。どちらも何とか決着したようですね。


●対立点●
Aさん:外に行きたい Bさん:家にいたい

●きもち、ニーズ●
Aさん:リフレッシュしたい Bさん:疲れている、ゆっくりしたい


●背景や価値観●
Aさん:Bさんが忙しかったと思っている
Bさん:Aさんのやりたいことを聞いて間を取りたい、平等にしたい


●解決策●
2時間出かけて、夕食は外で食べる(外に行けるし、家事が減る!)
家の庭でピクニックをする(リフレッシュできるし、外に出かけないからゆっくりできる)


感想を聞いてみると
・1回目は相手のニーズというか気持ちを聞こうとした。でも2回目は自分の意見を伝えようとした
相手が聞いてくれる安心感があったのでニーズを伝えることができた

という声が聞こえました。


やはり、一緒に暮らすパートナーとのやりとりなので、一つめの設定とは気持ちの持ち方が違うようですね。自分のニーズを相手に話すことが解決の糸口になったようですが、それを話すかどうかも相手の態度次第、2人の関係しだいということでした。


③ 6つの対処法
そのあと、対立が起きた時の対処法6つ(攻撃する、協働する、妥協する、あきらめる、逃避・後回し、権威に訴える)について、「自分のニーズへの配慮・相手のニーズへの配慮」をそれぞれ縦軸と横軸に取り、お互いのニーズへの配慮がもっとも高い、いわゆる「ウィンウィン解決法(協働する)」はどれかということを振り返り、前半が終了。


「妥協とウィンウィンはどう違うのか」


 という質問がありました。

一番のポイントは、妥協は100をお互いで分け合うというイメージ、ウィンウィンはお互い100を目指すというイメージかと思います。


ウィンウィンを目指すことがいつも可能とは限りません。でも、自分や相手のニーズに気付き、近づくための技術は学ぶことができます。


休憩をはさんで後半です。


④ 気持ちビンゴ

たてよこ25個のマスに、25個の「きもち」が書いてあります。ペアになって、お互いに「○○の気持ちになったのはどんな時?」と聞きながらマスを埋めて行きます(参加者がたくさんいるときは、フリーに動いてマスを埋めてもらいます。)


 

25個の気持ち(例)
うれしい、せつない、うらやましい、こまった、がっかりだ、くやしい、ショックだ、楽しい、イライラする、ほっとした、怖い…など


☆私は年齢が低い子どもたちとワークをするとき、このシートをよく使います。難しい映像を見た後や社会の現状を考えるとき、自分の気持ちにもっとも近いものに○をして、○をした理由を考えると、驚くほどよく考えてくれます。(小学校2年生以上で使用経験あり)なんとなく、ビンゴになっているとできるだけたくさん埋めてやろう!とやる気になるのは私だけでしょうか。。。


「ここにある25個の気持ちの中で、対立につながる気持ちはどれでしょうか?」
「マイナスイメージの気持ちは全部かなぁ」


気持ちに名前をつけるのは大事なことです。名前があることが分かるだけで落ち着くこともあります。すべて「ビミョー」や「楽しかった」という感想で終わるのは気持ちに名前があることを知らないから。大人が使わないと子どもも使わないと思います。


⑤ 怒りの火山
さて、次は自分自身の怒りについて分析します。
まずは、怒りを感じた時のことをできる限り鮮明に思い出します。


その瞬間の体や心の反応は…
何も考えられない、鼓動が早くなる、言葉が出なくなる、顔が赤くなる。。。


そう、怒りを感じると体は熱くかたくなり、頭はあまり動きませんよね。怒りはとても強い感情なので、その時に何かを判断するのは難しいということを実感したうえで、「怒りの火山」という図を使って、怒って爆発する下に何層もの気持ちや心の動きがあることを知ってもらいます。


一番上は「噴火(暴力や言葉に出る)」
その下は「激怒(かなり怒っているが噴火はしていない)」
その下は「怒り(プスプスと煮えている状況でしょうか)」
その下は「気持ち(無力感、疎外感、つらい、心配など。怒りにつながるマイナスな感情)」


そして一番下の層には「満たされないニーズ(尊重、倫理観、価値観など)」


暴力に訴えることが必要なことも、時にはあります。でも、常に爆発していては身も心も持ちません。とはいえ、下層にあるニーズや気持ちを持って生きていてこそ、その人らしい生き方ができるというもの。この部分が違うから、人と人は対立が起きるのですね。それを知ることが大切なのだと思います。


⑥ 怒りの分析・共有


人の気持ちやニーズを知る前にやはりまずは自分のことを知ることが大切ですね。最

後のワークは、自分自身の怒りについて分析する時間を取ります。


1、怒りを感じた場面、どんな場面だったか

2、その時の気持ちは

3、満たされないニーズは

4、あなたの価値観は


個人作業をしていると、3と4がなかなか埋まらないようです。


感想を聞いてみると
娘がなかなかいうことを聞かないのでよく対立していたが、それは自分自身の時間を取りたいという気持ちがあるからだということが分かった。なんか、自分勝手だなぁって
価値観まで考えることは普段なかった。埋められなかったけど、きっとここを考えると人との対立の仕方も変わってくるんだと思う
・こうして自分で分析するのも大変なんだから、相手が気づくのはもっと難しいと思う。


怒りを感じた時にどういう対応をしたらうまくいったかを、参加者の皆さんから出してもらう予定でしたが、時間があまりなかったので、私から紹介しました。


時間を置く、場所を変える、第三者に入ってもらう…

その中で、「文字にする」という方法、ただその時の思いを書いておくというものなのですが、これがなかなか参加者の皆さんの興味を引いたようです。


・書いたものは取っておくんですか?
・日記でもいいんですか?
と質問が出ました。


私は、ケータイで打つことが多いんですが、文字でもなんでもいいと思います。なんかそれだけで少しすっきりする、冷静になれます。

ワークショップの最後に、詩の紹介をして終わりました。その詩はコチラです。


『内側に向けて窓を開こう』
感情には、よいも、悪いもない。
正しいも、まちがいもない。
ただ、そこにある自然なもの。
 
私のからだをゆるませたり、ほころばせたり、
こわばらせたりするけれど、
消したり、ねじまげることはできない。
いつもフレッシュな私の友だち。
生きている私からわきでてくるからだのメッセージ。


タメるばかりじゃ、むかつく。
キレるばかりじゃ、あばれる。
コモるばかりじゃ、ねじれる。


内に開く窓をそーっと開けてみよう。
感情をすくいとって手のひらにうかべて眺めてみよう。
名前をつけて呼んでみよう。
『7daysアサーティブネス こじれない人間関係のレッスン(八巻香織 著/ティーンズポスト 編、太郎二郎社エディタス)』より


参加してくれた皆さん、ありがとうございました。


次回は同じ会場で9月24日(土)に実施します。

次回はいよいよ「しなやかに伝える」の回です。対立がきっかけと気づき、自分の怒りや気持ちも大切にする。さて、それをどうやって怒りの対象、対立相手に伝えるのか!?皆様の参加をお待ちしています。


※このワークショップは「子どもとできる創造的な対立解決―実践ガイド―」(モーニングサイドセンター 編、開発教育協会 編訳・発行)を参考に実施しています。


<アンケート結果>
満足度
100点:自分が今まで気付けなかったことに気付けたから。
95点:自分の時間が持てた。自分の怒りの傾向に気付くことができた。
80点:発言し合いながらできたのでよかった。
90点:理由は、二時間は思ったより短くて盛り沢山だったので、もう少しゆっくり振り返りができるとよかった。


分かったこと
○怒りの対象(娘)と少し離れる時間を持つことも大切。子どもの気持ちにも耳を傾けて、協働していきたい。(攻撃とあきらめが多かったので。。。)
○自分の気持ち、ニーズに分けて理解することができた。
○ウィンウィン解決法。妥協とは違う。両方が100%満足すること
○win-winを心がけているつもりでいたが、実は妥協が身に付いており、50-50や時には80-20で決着させていたことに気づいた。


分からないこと
○「権威に訴える」は、関心への配慮の図では、場外なのか?


その他
○ぜひまた参加したいです!
○また機会があれば参加したいです。ありがとうございました。
○とても楽しかった。次回も参加したいです。ちえぞう、お疲れ様でした。次回、カンパするね~\(^-^)/