Can Can 雑誌1990年6月税込550円
表紙 モデル 鈴木保奈美
プロフィール
すずき・ほなみ 1966年8月14日東京生まれ
1984年「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で特別賞を受賞。成城大学在学中、カネボウのキャンペーンガールを経て女優としてデビュー。現在はドラマ『恋のパラダイス』(フジテレビ系)で好演。好評を得ている。
どこか少年ぽい凛としたキュートさと、年相応のしなやかさがバランスよくミックスされて、近ごろますます魅力の幅を広げている保奈美さん。おしゃれもジーンズならフレンチカジュアル風からアメリカの少年そのままの〝アメリカ小僧〟風まで、と意欲的。連載第一回目の今回は、そんな彼女のプライベートな遊び着に迫ります。
そんな意識の変化を機に、今年はおしゃれに関していろいろと彼女なりのテーマが生まれたらしい。
まずは〝靴〟。「いい靴履くぞ！」というのが第一のテーマとか。
「今年に入ってから、けっこう新しい靴を何足か買ってるんです。これもその一足なんですけど」
そう言いながらくれたのは、茶と白のコンビのローファー。白いシャツにジーンズと紺のジャケット、アーガイルのソックスという、この日の彼女の、カジュアルな装いを、そのローファーがりりしく引き締めているといった感じ。
「ね、ボロのジーンズがけっこうきちんと見えちゃうでしょ。今まで私、靴といえば履いたら履きっぱなし、一足買ったらそれを履きつぶすまで履くっていう感じだったんです。でも実はこの、履きっぱなしの靴が、全体のおしゃれを台無しにするっていうことに気づいてなかったんですね」(笑)
逆に、多少洋服に手は抜いても、質のいい、デザインのしっかりした靴を履くことで、全身が素敵に、洗練されて見えることがわかってきたという。
彼女をその気にさせたのは、青山にあるロイド・フットウェアという靴の専門店。
「このお店にあるのはレディースもみんなローファーやウイングチップとか、トラッド色の強いタイプばかりなんです。質がいい分、お値段もそれなりに高価で、買うときにちょっとドキドキしたんですけど(笑)。ケアの仕方なんかしっかり聞いて、クリームやブラシも買い込んで、夜、カーッとかいって磨いてるんです」
同じ靴は2日続けて履くべからず、という靴の基本もしっかり守っている。
「だから最近、靴をまず決めて、その次に洋服をっていうふうになってきましたね」
そしてもうひとつかのテーマが「ジーンズをもっともっとはこう！」というもの。
「髪を切ったらけっこうジーンズが自然にはけるようになったんです。ジャケットに合わせてフレンチカジュアル風に着たり、夏は少年風もいいかなって。例えばベースボールシャツに合わせたり、ジーンズのオーバーオールなんかをガバッと着てみたり、アメリカ小僧って呼んでる格好なんですけど」(笑い)
そしてさらにもうひとつ。総合的にもう少し
「アレコレと幅を広げてみよう！」と。
そう思い立ったのは、今年の1月にオーストラリアに仕事で出かけた旅がきっかけになっているとか。
「そのたびに持っていたワードローブが大正解だったんです。旅っていうと、たいてい必要ないものを持って来ちゃったり、何かが足りなかったりしてイライラしますよね。それがこのときはトランクに詰めた服、どれをどう合わせてもピッタリだったんです」
「そのときは大感激だったんです。自分の中でテーマか固まってきているから、何をどう合わせても大丈夫なのかな、なんて。ただ、嬉しい半面、今からこんなふうに固まっちゃうのもつまらないなって思ったんです。しかも、いろいろやるだけのことをやってみて行きついたのならいいけど、私って本当に、フツーのOL さんや学年さんたちに比べたら、全然お金かかってないんですよ、数もないし高いものも買わないし…」
「今30才くらいの素敵な女優さんたちも、インタビューの記事なんか読ませていただくと、昔はどんでもない格好してたとか話してますよね。そういう経験があってこそ、今すごく素敵なんだな、と思うんです。だからこれからはケチらずに(笑い)、今まで着なかったタイプの服にもどんどん挑戦してみようかなって思ってます。
23～24才って大人にもなれる、子供でもいられる、どっちにも転べる年ですよね。失敗しても笑って許されるのは今のうちですから」(笑い)
(フジテレビ系・毎週木曜夜10時)では、一流商社に勤めるOL 役を演じている。
「出勤姿はビシッとスーツに身を包み、プライベートはジーンズのアメリカ小僧でがんばってます」
私生活同様、ドラマの中でも「あれこれ冒険してる」鈴木保奈美さんのおしゃれ、ぜひ注目していたい。
