微笑雑誌 1989年7月29日発行
究極のダンディ
玉置浩二(30)
これがトレンディ。「1に度胸、2に体力、3、4、5が女」!

「ボクはね、どういうんだろう、指の先まで神経が行き届いてるらしくて、スーツなんかでピッと決めると、手先までピッとまっすぐになってしまうんだよ」
六本木のクラブのシーン。

ベルサーチのスーツで決めた玉置浩二、こんなことをいってスタッフを笑わしている。
それにしても、ベルサーチそしてポルシェ
ため息の出るようなダンディぶりなのだ。
「…この映画は、原作がマンガですからね。主人公の一条正人(いちじょうまさと)は、まさに現代のスーパーマン。1に度胸、2に体力、3、4、5が女、女、女ってタイプですが…それを、どう楽しく表現できますか」

玉置主演の『右曲がりのダンディー』(東映)は、週刊漫画雑誌『コミックモーニング』(講談社)に連載された、末松正博(すえまつまさひろ)
さんの人気コミックの映画化。

玉置扮する主人公の一条正人は、ビジネスも遊びもバリバリやってのける一流商社マン。
「ウォーターフロントのリッチなマンションに住み、ポルシェを乗りまわすんですよ」

どこからどう見ても、現代のスーパーヒーロー。
「とにかく、スタッフ、共演者の方々と協力して、楽しく、面白くを目指しているんですよ」

軽いノリの口調だが、撮影現場での玉置は真剣そのもの。ベテラン俳優・峰岸徹(みねぎしとおる)の演技にじっと目をこらしたり、汗びっしょりで何度もテストを繰り返したり…。
「芝居は、慣れてませんからね、テストは何回もやってもらったほうがいいんですよ」

雨のシーン、六本木のクラブのシーン、早朝から深夜までのお台場でのロケ…信じられないくらいハードなスケジュールだが、玉置は、けっして不機嫌な顔を見せない。
とにかく明るく、ときにはジョークも交えながら、周囲の雰囲気を盛り上げている。

ピシッと決まりに決まった二枚目、玉置のコミカルな演技も、周囲の笑いを誘う。
ロケの休憩どき。見物のファンから声がかかった。
「玉置さーん、音楽はやらないんですか」

疲れ気味だった玉置の表現に、パッと笑顔が戻る。
「やりますよ…アルバムも出ますし」
そういうやりとりのときは、あきらかに歌手、そして、スターだ。

この映画、玉置は主演の他に音楽監督も兼ねている。
サウンドトラックも、もちろん、玉置。
「ミュージシャン、アーティストよ活動をしているときのぼくと、別の面のボクを、この映画で見てもらえたら…と、欲張ったことを考えているんですよ」

TBS 系のドラマで見せた、ひょうきんさに、さらに磨きをかけ、究極のダンディを演じる玉置。
『右曲がりの…』の公開は8月になる。

二枚目と三枚目をコミカルに、リズミカルに演じていく。撮影の合間にもスタッフやカメラマンに気軽に声をかける明るい玉置


サザン・ウインド   玉置浩二 作曲