
ジェイ・ジェイ1989年4月号
テーマ インタビュー
20歳って何ですか?
荻野目洋子1968年12月生まれ。「ダンシング・ヒーロー」などのヒットがある。

20歳のお誕生日を迎えたときには、そんな実感なかったんですけど、成人の日には、ジグソーパズルの最後の一片が加わったような納まった気がしましたね。
すごくいろいろな認めてもらえる年なんだなって強く感じました。特に嬉しかったのは、何年も前から家族ぐるみでおつきあいしている方から送られてきた色紙⎯⎯
「いちばん尊敬できるのはお父さん、いちばん美しい人はお母さん」ってそれだけ書いてあるんですが、すごくステキな言葉だなって…。
だから20歳だからやっと独立できるように感じている人もいるかもしれないけど、私の場合はちょっと違うんです。
ほかの意味でもアメリカに滞在できたことは本当によかった‼️

向こうで私のビデオに出演してもらうダンサーのオーディションに立ち合ったんですが、受けに来た人100人が100人ともね、自分を100%知り尽くしていて自分を表現するのがとても上手なんですね。足がバンとあがる人はバンとあげるとか…。だから、ダンサーとしては一流じゃない人でも、ホント、素敵なの。でも、10代の頃の私って自分を省みずにただカッコイイ人のマネしようとばかりしていたの。その結果自分をおろそかにしていたことに初めて気がついたんです。

やっぱり大人として自立することって、そういうふうに周りに左右されないことだってわかったの。アメリカ人って人の意見をあまり気にしないのね。「あっ、そう」って人の考えは聞くけと、「でも自分はこう思うのよ、なぜならこうこうだから」ってそこまで理屈づけられる。それが自立だと思うのね。でも日本人ってそういう人少ないでしょ。だって街角でマイクをつきつけられてもなかなか自分の意見をじゃべれない人も多いし…。

そんなことを10代の最後にアメリカでいろいろ考えさせられたこと、とても私は恵まれていたと思いますね。それで、これからは私も仕事のひとつひとつに自分らしさをちゃーんとどこかに出していきたいなって。いままでは目の前の仕事をこなしていただけのところあったけど。
ふりかえれば10代って自分が完成してないでしょ。だから感動したり動揺したり激動の時代でしたね。
いちばんショックだったのは岡田有希子ちゃんのこと、それから同じ年にマネージャーが他界したこと。もうすごい情緒不安定になっちゃって自分も自殺しちゃうのかなとまで思ったんです。でも、そういうのだんだん乗り越えていまとてもいい節目だなって気がしています。
TOSHIBA スイートカラー’85年
Let's Chat シリーズ
そうだな、やっぱり20代は華やかにいきたいですね。恋愛も含めて…。私はね、お金なんかなくてもね、素敵な人たちと出会って仕事していかれればいいの。年をとるのが楽しみなんです。30ぐらいになったときの自分が楽しみなの。で、いつかディオンヌ・ワーウィックみたいにアーッて一声出したときに人生のすべてが出てしまうような歌手になればいいなって…。だから、それまでになんかすごいどん底に落ちても、いろんな物を見て妥協せずに生きていきたいと思いますね。
シャンプー&コンディショナー