ジェイ・ジェイ雑誌1989年6月号
ヤングヒーローのスポーツライフ  阿部寛
1964年6月22日生まれ。横浜市出身。中央大学在学中「ノンノボーイフレンド大賞」を獲得。以後雑誌モデルとして活躍。「はいからさんが通る」で南野陽子の相手役として役者デビューし、2作目の「YAWARA! 」では浅香唯演ずる天才柔道少女を温かく見守るスポーツ記者を熱演
身長189cm  体重75kg
今回の映画「YAWARA! 」で演じた熱血スポーツ記者役は、僕自身のテニスによく似てたんじゃないかな。なにしろ執念のテニスですから(笑)
スポーツも本来は走る、泳ぐといった人間の本能に根ざしたようなものが得意で、ボールを使うのはどちらかというと苦手。でも大学では一念発起してテニス同好会に入り、最初の1~2ヵ月間は毎朝4時起きしては2~3時間、家の近くでボールが割れるまで練習しましたからね。
こういう性格で友達は執念深いというけれど、何かに夢中になると超ムキになっちゃう。だからテニスも技よりは力のゲームが好きだし、ひとりでカッカ熱くなって、サービスのときなんかブツブツひとりごとをいって気合いを入れてるんです。「遊びなのに、また熱くなってる」
って友達にはバカにされるけど。
スポーツじゃないんだけれど、高校時代は誰にも数学だけは負けたくないと思っていたから、試練になるとクラスで一番になることだけ考えるんです。だからもし数学と社会の試験が同じ日にあるとしたら、社会は完全に無視。頭にあるのは数学のことだけ(笑)。テニスの熱中の仕方とよく似てるでしょ。テニス熱も学生時代にくらべるとだいぶ冷めてきましたけれど、それでも仲間を集めて月に何回かはやってますね。ほとんど男同士。女のコと一緒にゲームをするのが憧れのわりには、僕の場合、どうしても力と執念のテニスですからね。結果的に男同士でパシッ、パシッとやるのがおもしろいということになっちゃう。

仕事もスポーツも。今僕にとって何が最大の壁かといったら演技ですけどね。見るたびに肩に力の入った〝力の演技〟だなあと……。