ジェイ・ジェイ雑誌1988年1月号
スポーツヒーローの素顔 
松岡修造 プロテニスプレーヤー 20歳
試合に負ければ泣くこともある。失恋は中学生時代に経験、今はやりのおしょうゆ顔⁉️
「この1年、日本にいたのは3週間くらいかなぁ。大学にいってれば今ごろ3年生、遊んでばかりいたかもしれませんね」
世界に羽ばたく、日本テニス界期待の星は186センチの身長、日焼けした小麦色の肌がまぶしい。父は元デ杯(デイヴィス・カップ)選手で東宝社長の松岡功氏(まつおか いさお)、折り紙つきのサラブレッドだ。高校時代からアメリカへテニス留学、去年9月にプロに転向した。
─世界を駆けめぐる一人旅、さびしくないですか?
「つらい時は、薬師丸ひろ子の歌を歌ったりして…牛丼が好きだから、食べられる店をさがしたり、いろいろやることあるんです。ときどきは女性週刊誌なんて買ったりもするんです。おかしい?」
─洋服は自分で選ぶ?
「買い物はほとんどしません。ズボンとかは足の長さが合わないから困るんです。でも兄貴
(宏泰さん・慶応大テニス部)と体型がほとんど同じなので、日本に帰った時にもらう。ジーンズ、ジャケット、みんな兄貴のお古です。好きな色は黒とオレンジ」
─試合中におまじないとかするの?
「…これはあんまり教えたことがないんですけど、腕時計のベルトを、ギュッとしめるんです。穴2つくらい。なんかこう、気持ちが引き締まるというか」
─賞金の使いみちは?
「別に…なんにも…」
いかにも育ちのよい 返事。逆に、いつもコーチに指摘されるのは〝集中力〟だ、という事実も、修造君らしい。関係者よのみならず〝勝たせてやりたい〟という人が多いのも、彼の人間性によるところが大きそう。
最後に今夜の抱負を尋ねてみた。
「今の課題はとにかく勝つこと。外人っていっても、結構ビビったりもしている。そんなにたいしたことはない、と思ってるんです」
頼もしい返事がかえってきた。