ジェイジェイ雑誌1987年2月
クローズアップ  渡辺裕之
鍛えぬかれた、全身筋肉というスタイル。176センチで胸囲は、なんと106センチ。スポーツ万能のカッコよさと爽やかさで、注目のまとになっている渡辺裕之さん。1955年12月9日生まれ。射手座の31歳(1987年)精悍なルックスは、すっかりおなじみになったけれど、いったいどんな男性?
(220─31)×0.6=113。のっけからなにやらワケのわからぬ数字が並びますが、実はこの計算、渡辺さんの毎日の生活にとって、絶対欠かせないもの。ちなみに、31というのは彼の年齢で、これはスポーツをするときにベストな心拍数(一分間に)を割り出す計算。スキー、乗馬、スキューバ、陸上etc 、少なくとも30以上のスポーツをプロ級にこなしてしまう渡辺さんは、つねにこの113という数字を意識して毎日の生活を送っている。
「ひとつのスポーツをマスターするには、2週間もあれば十分かな?まったくゼロから始めても、2週間後には、いちばんうまい人と同じようなフォームができるようになってるんだよね。え?スーパーマン?そんなことないよ。自分の肉体との上手なつきあい方を知ってれば、意外との簡単なんだよ」
とは言うものの、高田馬場から人形町までローラースケートで通勤したり、急な坂道をスケボーの上で逆立ちしたまま下りてくるなんていう離れ業は、渡辺さんならでは。フツーの人にはできっこない。
幼年期をジャングルのなかで過ごしたわけではない。出身は茨城県の水戸市。3人兄弟の長男として生まれ、県立の商業高校を卒業したあとは拓殖大学に進学している。
「小学校2年のときから大学生まで、ボーイスカウトに入ってたんですよ。もともとの性格もあったけれど、サバイバル、自立の精神、スポーツ万能っていうのは、この時期に養われたみたいだね。ボーイスカウトでの体験が、いまの僕を作ったんじゃないかな」
友愛の精神、リーダーシップなども、この時期に学び、いまでもその心が渡辺さんのなかに根強く残っている。高校時代には校長をおびえさせるような硬派の生徒会議長をつとめ、いまでも役者仲間の後輩を1ダースほど引きつれ、夕食に出かけることもザラだ。
「〝野鴨のように〟って、この言葉はIBMの社訓にもなってるけど、僕も野鴨のように生きていきたい。自然のなかで、自分の足で歩いて自分でエサを見つけ、いま、この時をあるがままに、っていう生き方が理想。太った家鴨になって、夕食のおかずにされるのだけは、絶対にイヤなんだよね(笑)」
日々たくましくなっていく筋肉質の体と心、下手な料理人では歯がたたない鉄人だ。
ドラムスの腕前もプロ級。ジャズのトリオを組んで、六本木のライブハウスにも出演している。
●ふだんはどんなファッションが好き?
「ジーンズにTシャツ、ブルゾンっていう着ていてラクで、すぐどんな動きにも対応できる。
突然強風が吹いてきても、雪が降っても平気で、一枚脱げばすぐ涼しくなって、逆に一枚着れば暖かくなるような。まず、機能性を重視して洋服を選んでますよ。」