ジェイジェイ雑誌1990年10月税込550円
今 いちばん気になる男の子 加勢大周
二人が初めて会ったのは一年前の夏、桑田さんは「これかな」と感じるものが会ったと言う。
映画作りを通して思いを伝え合った二人は海が好きな男として、世代を超えたシンパシーを感じているのだろう。

桑田 「加勢君、久し振り!元気だった?」
加勢 「(顔をパッと嬉しそうにし)ハイッ。」
桑田 「初々しいよねえ(笑)。いや、加勢君といると〝礼儀正しい〟〝清々しい〟〝爽やか〟もう今じゃほとんど死語に近い、昭和30年、40年あたりのフレーズがバンバン甦ってくるんだよね。俺なんか礼儀に欠けるとこ、あるから、逆に刺激されるし、魅かれるよね。」
加勢 「いや、監督の前で、緊張してるんです。特にオーディションの時は、あがって、舌なんか回らなくって(笑)。そしたら監督に『加勢君、どこ生まれ?』なんて聞かれて『北海道です』って答えたら『あっ、そう?喋り方がさあ、湘南っぽいんだよね』とか言われちゃって(笑)」
桑田  「いや、でもオーディションでガチガチになるっていうの、わかるなあ。審査員がネームプレートだしてさ、ずらーっと座ってて一言も喋んねぇ、みたいな傾向あるからさ。で、集まって来るのは、みんな自分に賭けてるっていう連中ばっかりだから一人一人ものすごいエネルギーだしね。」
桑田 「でも、そんなもんだよね。俺だってサザンオールスターズで事務所決めようとして自分で行くと断られたりしたもん。おかしいなーとか煮詰まってたらどっかのおやじが来て名刺に〝アミューズ〟とか書いてあるからさ『石けん会社!?』とか思ったけど、まあいいかって。何か狙い打ちより〝縁〟ってあるよね。」
加勢 「僕もバイト先の店にたまたま今の社長が来て、スカウトされて。それがなかったら今はない訳ですから。」
桑田圭祐監督作品「稲村ジェーン」は湘南稲村ヶ崎の、風と波と、音楽の物語。加勢大周、金山一彦、的場浩司ほか 9月8日東宝系公開