兄の彼女⑶







結果から言うと兄は最後


黄疸が出ている状態を長時間放置した結果死んだ。














彼女さんは『最後の方は部屋の電気が


消えていて黄疸に気づくのが遅れた』












『彼を本当に愛していた。


彼をただ、守りたかった。


最後の彼氏だと思っている。』











『食欲がない彼の為に彼が好きな


インスタントラーメンを沢山買って来て


食べさせてあげていた』











『黄疸に気づいたけど、病院に行きたくないと


言っていたので連れていきませんでした』
















『嫌がる度に、ちどりあしちゃん(私)に


言うからね!とよく言っていました』






『それだけは辞めてくれと


彼は言っていました。』













『最後彼はラーメンも食べれなくなり


私が作った湯豆腐が喉を通りませんでした。』











『流石にマズいと思いケースワーカーさんに


相談しました。


そして病院に連絡を入れることになりました』










『最後彼は携帯が止まっていたので


病院に持って行く際私が支払いました。』








彼女が私に電話で言った言葉だ。
















彼女さんは、


どうやら黄疸が出た後も兄と一緒になって


酒を飲んでいたらしい。










そして私に


『私看護師なんですよね』

と誇らしげに言った。











確かに兄はもう子供ではない。


自分の事は自分で判断しなければいけない。











救急車を自ら呼ばなかったのも





黄疸が出ているのに

酒を飲み続けたのも





毎週、通院で点滴が必要な中

酒のせいで

歩行障害になり

通院する体力が無かった事も






全部自分のせいだ。









だけど


酒を自分の力で辞めれないのが

アルコール依存症なのだ。






そして側に居た彼女さんも

アルコール依存症であった。








兄の最後は支離滅裂な言動や行動が多く


暴力を振るわれる事もあったそうだ。


共依存のような状態で


お互いに離れられなかったそうだ。




 











歯を食いしばり、泣きながら話を聞いた。






喉から出て来そうな言葉を

必死に堪えて話を最後まで

聞いた。









彼女は長々と自分の精神病の話をし、 


今までに自分の周りの人が

沢山亡くなった事を話した。









 

『何で私の周りの人達は

亡くなっていくんでしょうか。』





『私に出来ることは

なかったんでしょうか?』






『周りに彼の話をしたら

よくあんな奴と続いたよねって。

凄いよねって言われるんですよ。


あと彼は知人にお金を

借りていたようですよ。




と私に言った。








私は彼女に



『彼女さんに出来る事は

これ以上ありませんでした。』




『兄が迷惑をかけて申し訳

ありませんでした。



『兄の側に居てくれて、

本当にありがとうございました』



と言った。








それが彼女さんとの

おおまかな流れである。









正直、彼女さんの話を書き始めると

 

とても気分が優れなくなる。






さっさと簡潔に書いて終わらせたい割に


内容が濃く、色々な想いが湧いてくる。


投稿した翌日は


落ち込んで、自分が嫌いになりそうだ。











彼女さんの事を悪く書くたびに、




"じゃあ私は何が出来たの"

"何で気づけなかったの"

"何か出来たんじゃないの"

"私のせいじゃないの"






って、思うんですその日も、翌日も。


話の中では彼女さんは切っても切り離せない


そんな人物の為


だいぶ端折って書く事にしましたが







なるべく心が疲れない様


登場する場合には、気をつけて書こうと思います。