十三人の刺客
『十三人の刺客 』
一年に何本撮るんだ三池崇史監督最新作。
うううーーん!と唸った一本でした!
面白い!
評判がいいのも頷ける。
各所で言われているごろーちゃんの怪演。
これはもう絶品ですね。
単なる金持ちのぼんぼんじゃない。
お金をちらつかせて、権力をちらつかせてわが身を守る殿ではなく。
死に際に命乞いをする残念系の殿ではなく。
いいです。
「殿、そっちは罠です!」と言われてるのにわざわざニヤッと笑って罠に飛び込む殿。
そんな茶目っ気とは別にこれがまたヒドイ君主。
女をみれば奴隷というかおもちゃのように弄び、飽きたら捨てる。
例えそれが家来の妻だとしても。
殺すのも甚振るのも当たり前。
畜生ですよ、畜生。
挙句、両手両足切断し、舌まで抜いて家族は殺し、しまいにはそこらへんに捨て、その後の女の姿見せたられた日には「ひでー!!ごろーちゃんひでーよ!!」と思わずにはいられない。
もちろんそれだけで大儀は十分。
この先、あいつが老中になったら日本は終わると思うのもこれ当然。
そして集まった13人が(1人は山から参加)刺客として暗殺しに行くわけです。
途中中だるみはあるものの、まあまあテンポよくすすむので飽きずに観れます。
不思議なことにあの伊勢谷友介と高岡蒼甫の毒気が抜かれて普通に観れる。
一体三池監督はどんなマジック使ったんだよと感心してしまう。
役所広司はロバートデニーロみたいなもんで巧いけど何やっても一緒に見えてしまうという難点があるものの、大きく前面に出る役でないのですんなり観れました。
ちなみに私がおぉっ!と思ったところは伊原剛志と窪田正孝の死に際ラブロマンス。
これはこれはちょっとうっとり系が入ってませんか?!とニヤリとなります。
稚児役とか窪田正孝合ってるよ!
あとは、やっぱり松方弘樹の見せる殺陣。
北野武に「松方さんは最後の時代劇役者(演技はもとより打上げとかのお金の使い方とか)だからね」と言われるのも納得。
うまい、うまいよ!殺陣。
どーよ俺?!てな具合のどや顔!
シャキーン!とSE入ってもおかしくないね(作品的にNGです)。
そんなわけで85点。
オススメです!!
時代劇を映画館で観たのってもしかしたら『SF 』以来かもしれない。
本格派時代劇で面白いぞーって思ったのは久々ですかね。
ついでに最後まで生き残ったおいしい役どころの山田孝之。
ドラマじゃみないが映画でみる、という俳優になりましたね。
ちょっと前まではこんな感じだったのだけど・・・
まるで世捨て人のような。
山に篭ってますみたいな。
それが少々さっぱりしたかなと思ったらヴェネツィア国際映画祭でこんなんなってた。
こ、これは・・・!
これは正しくヤツでないか!!
そう、ヤツとはあれだ!
ウルヴァリンだ!!!
ワショーーイ!!
劇中出てくる両手両足切断舌抜きのシーンはかなり不気味だったけれどあれですね、永井豪の『バイオレンス・ジャック』にも出てきてますね。
正しく人犬。
飛鳥了と美樹ちゃんにやらせてるあたりがえぐい。
永井豪えぐい。
小学生の頃読んで衝撃的だった。
また、谷村美月演じる眉なしおはぐろっ娘のような雰囲気が好きなんですが、『双生児』に出てくるりょうを彷彿さ
せますなぁ。
『双生児-gemini- 』
塚本晋也作品の中だとこの作品が一番好き!
本木雅弘の毒気いっぱい出てます!
時代劇、の中で割りと好きなのはこれ。
『忠臣蔵外伝四谷怪談 』
深作欣二の俺はお前を撮って(獲って)やるよ!感がバリバリ出てます。
好きです。
高岡早紀のおっぱいポロリ(というかボロンッ)観れます。
十三人の刺客、今年の邦画ベストです。