今日紹介するCDは、既報通り、パーヴォとドイツカンマーフィルブレーメンによる、ブラームスのハンガリー舞曲、ベートーヴェン、シューマンの人気曲をパーヴォがセレクトした名盤である。
パーヴォのCDを聴いていると、このCDに限らずではあるが、体中にパワーが漲り、ウキウキしてくる。特に、ブラームスのハンガリー舞曲第10番は、一大の傑作である。ほかの指揮者・オーケストラが手掛ける第10番は、気の抜けたビールのように、退屈きわまりないのだが、パーヴォはこの10番の解釈を真っ向からひっくり返し、大変にテンポアップした演奏を繰り広げ、圧巻である。その素晴らしい演奏には、感嘆してしまう。パーヴォの演奏と指揮の力強くスピードアップした演奏が、ブラームスが本来目指したハンガリー舞曲だとすれば、パーヴォの功績は大きい。
アンコールなどで演奏されることの多い、第10番であるが、快感にみちたこのパーヴォの指揮をもっと評価すべきだと思う、名演である。
この後素晴らしいとおもうのは、ベートーヴェン交響曲第7番の第4楽章である。人気テレビドラマ「のだめカンタービレ」でもおなじみになった名曲であるが、パーヴォの指揮にかかると、歴史的名演になるから不思議である。この演奏で私が最も良いと思うのは、カルロス・クライバーの指揮である。しかし、それをはるかに上回る、力いっぱいで逞しさとセクシーさを感じさせるパーヴォの指揮に、陶然となるのは、無理からぬことと思う。
同様のことがシューマンの「マンフレッド」序曲にも言える。暗鬱な冒頭部分から、光が差し込み、希望の光となって、ドラマ全体を照らし出すことをパーヴォは目指したのであろう、その意欲やよし、と私は思う。
ほかにも名曲、名演がぎっしりつまった、このCDは、もっと高く評価されるべきだと思う。
ぜひ、沢山の方に聴いていただきたい、名盤である。(了)
チコ@リサ(桂木里紗)のmy Pick
