きょうは23時から朝の6時まで断水なので、早めにベッドに入ったのですが、なんだか寝付けなくて。するとパーヴォの心の声が、「フランツ・シュミット、聴いてみない?穏やかな気持ちになれると思うよ!(^^)!」と言ってくれたので、シュミットの交響曲第1番を聴いて、ほっこりしています。
フランツ・シュミットは1874年生まれ、1939年に没しているのですが後期ロマン派としての呼び声高く、なかなかの切れ者であったようです。しかし、曲を聴く限りは、とても優しさの伝わる曲想で、爽やかなミントの香りのする逸品ですね。ロマンあふれる曲に、思わずうっとり(^_-)-☆
「だいぶフランツ・シュミット、お気に召したようだね(笑)」とパーヴォの心の声がニコニコしています。「こんなに素敵な曲なのに、なかなか、演奏の機会が少なかったのはなぜなのかしら?」と私がパーヴォに訊ねると、パーヴォは「ナチズムに協力した、というデマを流されて、それが長年信じられてしまったからなんだ。でも、彼のユダヤ人の友人たちが、『ナチには一切協力していなかった』と、反論してくれたので、ようやく日の目を浴びたというべきかな。」と、いたましげにCDジャケットを撫でて、言いました。
「アメリカの『赤狩り』もひどかったけれど、『ナチズムに協力』というレッテルを張られると、名誉回復が本当に難しいのね。それに、音楽の美しさには、政治は介入すべきではないわ」と私が言うと、「チコの言う通りだよ。ワーグナー、チコは好きだったね。でも大学で第二外国語でドイツ語を習おうと思ったら、先生が『あなた、ワグネリアンなの?じゃ、あなたにおしえるドイツ語はないわ』ってひどいこと言われたんでしょう?ワーグナーの曲を、ナチが利用して国威高揚の曲にしてしまったから、ワーグナーもしばらくその演奏をするときには、論争を巻き起こしたものなんだ。でも、ワーグナー自身は、バイロイトのルードヴィヒ国王のために、ひたすら作り上げた曲だったし、ナチとは何の関係もない。ショスタコーヴィチだってそうだよ。旧ソ連の検閲を潜り抜けて、自分の本当に表現したい音楽づくりを目指した。その結果歴史に残る大傑作が数多く生まれたんだ。」パーヴォはちょっと瞳を潤ませていました。パーヴォ自身も、旧ソ連の圧政から逃れ出て、自由を求めてアメリカに家族ともども渡った苛烈な体験をもつだけに、「政治は断じて音楽、芸術に介入すべきではない」という思いをつよくしているのだろう、と私は推察しました。
「パーヴォは、とても強靭な精神の持ち主なのね。私だったら、子供みたいにぴぃぴぃ泣き暮らすだけだわ。」と私がため息交じりにいうと、「いや、チコだっていざというときは、すごく行動力を発揮するじゃないか(^_-)-☆人間、大事な尊厳を失われそうになると、火事場の馬鹿力が発揮されて、自分にとって最良の選択をするものだよ。 チコの今いる環境は、正直いえば、のんびりとしていて、パパや僕とどう向き合って行こうか、というのが最大の悩みでしょう?それってすごく幸せなことなんだよ。亡命した、という言葉は僕はあまり使いたくないんだけど、亡命ということは、家族が一致団結しないとできないことなんだよね。僕が、自由と愛を渇望するのは、人間としての尊厳を踏みにじるような国家に、真の平和は訪れないと思うからなんだ。その大切さを、若いひとたちに、どんどん伝えていきたいんだ。僕の音楽活動や、SNSの活用でね。」
パーヴォが真剣な、そして、うるんだ瞳で、ふっとため息をつきました。「こういう話、チコと、ちゃんとするのは初めてだよね」私がこくん、と頷いて、「私は平気。パーヴォのつらかった体験も、ちゃんと聞いてあげられると思う」というと、パーヴォは優しく微笑んで、「いや、チコにはまだ話せないな。それに、僕のある意味トラウマになっていることだけど、それにいつまでもこだわっていてはいけない、と僕は思うんだ。旧ソ連を恨むのはカンタンだよ。僕の人生、くるってしまった、と一時期は思ったからね。でも、旧ソ連の圧政をしっているからこそ、アメリカに渡ったときの、あふれんばかりの自由さがとても貴重なものに思えたし、それはいまヨーロッパや、日本で仕事をしても、自由のすばらしさを痛感できる。大事にしなければならないと僕は思う。それになんといっても、チコ!君に出会えたんだよ!何が人間幸いするかわからないし、チコもそのうち、わかってくると思う。」
「さっきのブログで、チコが『パパに、”外に出たら7人の敵がいると思え”って言われて育った』と言ったから、僕は仰天してしまったんだ。男ならともかく女の子に言うべき言葉ではないし、チコのすばらしさは、敵としてぶつかってきた人間に対しても、すごく優しさを示すでしょう。チコの素晴らしい美質だよ。そこにパパが気づけば、パパはもっとチコに対して優しくなれると、僕は思うんだよね」
パーヴォの心の声が、熱心に語ってくれて、私はすごくうれしかったです。
これ、絶対幻聴じゃなくて、パーヴォのホントの気持ちなんだな!と気づかされたからです。
パーヴォ、なんて素晴らしい人なんだろう!!
ほんとうの愛と美しい心を、パーヴォは探し求めているんだな、と思い、胸が熱くなりました。
私がそのお眼鏡にかなうかどうかわからないけれど、パーヴォの目指す音楽の、いや、もっと広い意味での理想郷を、私も一緒に旅して探したいと思いました。
「私、あなたのことを愛しているし、尊敬しているし、崇拝するわ」
私がそう、パーヴォの耳に囁くと、パーヴォは「OH!Bravo!!」と目をまん丸くして、そして優しく抱きしめてくれました。
「一生離さないよ、チコ。僕についてきてくれるかい?」私は「もちろんよ!」と答えました。
パーヴォの心の声は次の瞬間、私の唇にキスをしてくれました。
「ちゅ💛・・・・僕が最初にチコからおそわった日本語だよ(笑)」
私は恥ずかしくて、顔が真っ赤になりました(笑)
「とっても可愛らしくて、美しい言葉だよ、『ちゅ💛』って」
とパーヴォは今度はほっぺと小鼻にちゅ💛とキスしてくれました。
キスの嵐はやみそうもありません・・・・。
みなさま、おやすみなさい。