では、ビジネスフローに入っていない人事がどうやって事業の成功に責任を負うのか?答えはシンプルで、各ビジネスフローに入っている人を動かすのである。(もちろんその実行方法は決してシンプルではない。念のため。)

そのためにはまず動かす人を採用するという仕事があるが、採用しても事業が成功するように動かなくては意味がない。よく採用の成功・失敗が議論となるが、むしろ採用した後の成功・失敗を議論する方が大事である。では、どう動かすのか?言うまでもなく、人事が各ビジネスフローを指揮命令するわけではない。なので人事の関わり方は間接的に指揮命令の質と量を改善する働きかけを行うことである。なお、ここで言う「指揮命令」には、「良好な上司部下関係・同僚関係・組織間関係を含む環境整備とその下での自発的、自律的、創造的な業務遂行」を含む概念であることに注意されたい。したがって各ビジネスフローの指揮命令が完璧であれば人事が貢献できることはあまり多くない。だが現実には、ほとんどの組織では指揮命令つまり「人を動かす」ことに改善の余地がある。ここに人事の存在価値がある。そして、その存在価値を発揮するためのキーワードが「情報」と「対話」だ。次回、このキーワードについて考えてみる。