「ハウス・オブ・ダイナマイト」につづくネットフリックスによる巨匠監督の作品だ。本作は「シェイプ・オブ・ウォーター」のギジェルモ・デル・トロ監督が、メアリー・シェリーの不朽の名作「フランケン・シュタイン」を映像化したもの。
原作はゴシックホラーの名作と言われているが、デル・トロ監督が描いたものは決してホラーではない。天才だが傲慢な科学者ヴィクター・フランケンシュタインと禁断の実験により彼が生み出した恐るべき人造人間の、二人の出自にまつわる悲しい物語だ。
まず、冒頭の北極圏を目指す探査船とクリーチャー(人造人間)との遭遇から強烈なヴァイオレンスと圧倒的迫力で目を奪われる。その後、ヴィクター博士の出自、そしてなぜ彼が科学が踏み入れてはならない実験に傾斜していったのかが描かれていく。古城内に組まれた実験場のセットや登場人物の衣装が豪華で配信映画の枠を超えている。さすが資本力の高いネットフリックス製作と思わせる作品だ。
出演は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」のオスカー・アイザック、「プリシラ」のジェイコブ・エロルディ、「MaXXXine マキシーン」のミア・ゴスなど癖のある旬の俳優たちを集めている。
これまでギジェルモ・デル・トロ監督は、異形のもの、クリーチャーなどを愛情深く主人公にしてきたが、本作は彼の集大成の作品となった感じだ。