華ちゃんの様子がおかしくなったのは、去年の春くらい前のことです。土手を登る階段を踏み外したり、名前を呼んでも反応しなくなりました。最初は耳が遠くなったのだろう、目が見えずらいのだろうと思っていましたが、それでは理解できないことも起きるようになりました。長いこと同じ場所に佇んだり、ちゃちゃの後をついて歩くようになったり、徐々に認知症の文字が浮かぶようになりました。

はっきりと認識するようになったのは半年くらい前です。ご飯の位置がわからなくなったり、撫でようと手を出すと噛もうとしたり、背中をさすると驚くようになりました。散歩から戻ってくると入り口がわからず家に入れないこともあります。

繁殖犬の引退犬の華ちゃんは、山奥のお外で暮らしてきて、我が家に8歳でやってきました。落ち着くのか物陰にいるのが好きです。ペット用のベットを用意しましたが、使ったことがない様子でマットを好みます。散歩は大好きなので、よく夫が連れて歩いていますが、他のわんこさんと関わることも、人に甘えたりするのは苦手のようで、華ちゃんの好きなように暮らしてもらうことにしました。

保護犬といっても繁殖犬だったのか、多頭飼い崩壊から保護されたのかなど、バックグランドによって、家犬修行が必要だったりします。室内で過ごしてこなかったためか、いろいろなものを口にする癖があり、室内では大きめのサークルの中で生活しました。捨て犬だったちゃちゃも長いこと放浪したせいか、いろんなものを口にする癖や粗相する癖が抜けず、同じようにサークルの中で暮らしています。

庭にはペットドアからいつでも出ることができるのですが、2人ともシニア犬だからか、ほとんど寝て過ごしています。

華ちゃんもちゃちゃも、我が家に来て幸せだったのだろうかと、ふと考えることが多くなりました。2人は人生の終わりに近づいてきていると、ここのところ見てとれるからです。どんなふうにお世話したら良いか悩みは尽きません。ただ言えることは、最近の華ちゃんが幸せそうに見えるのです。ちゃちゃと寄り添い合い、美味しいご飯を食べ、良い意味で縛られない世界にいるようで‥

命が美しくて、少し胸が締め付けられます。

華ちゃん＃3