息子には、先天性の眼の疾患があります。

片眼だけの疾患で、左右の視力に差がありますが、なんとか眼鏡で矯正して普通の学校に通えます。

ただし、眼鏡をかけても”ある程度”の矯正視力なので、学校でも塾でも席を前の方にしていただくようにあらかじめ書類には記載してあります。


小学校6年生の始め頃、算数の問題で間違えたため、息子は倉庫部屋へ追い出されたことがありました。数時間後、元の教室に戻ったところ、自分の席に違う子が座っており、空いているのは後ろの席のみでした。とりあえず座ったものの、黒板の字が見えない。

そこで、担当教師の塾長に

「後ろの席だと黒板の字が見えないので、前の席にしてください」と申し出ました。

 ちなみに、息子の通っていた市進学院は席順は成績順ではなく、塾長指名制です。


授業中に黒板の字が見えないから、前の席にして欲しいという要望は、言ってはいけないリクエストだったのでしょうか。

塾長の答えは

「だったら、お前下のクラスに行けよ!!下のクラスで前の席にしてもらえばいいだろ!消えろ!」

でした。


帰宅して息子は、「ママごめんなさい。クラス落ちちゃった。もう二度と上がれないと思う」と報告してきました。

「本当は、塾であったことは親に話してはいけないことになっているんだけど、僕は塾代を出してもらっている身だから、クラス落ちたら報告しなきゃいけないと思って。でも、塾長に謝ってクラス戻れるように頼んでみるね」

とのこと。


翌日、眼科に連れて行き視力が下がっていることを確認して、眼鏡を作り替えてもらいました。


何度も、塾長に話しかけても

「お前、話しかけてくんな」

の一言で追い払われたとのこと。


ポケットに、ICレコーダーを付けて塾にいかせました。今もその音声データが残っています。何度も何度も話しかけてやっと話し合いの場を持つことができました。話し合いというか、一方的に恫喝され、一方的に塾長の論理を押し付けられる場です。音声データの中には、机をバンバン叩きながら怒鳴る声や、机や椅子が乱暴に引きづられる音が含まれています。

大人の私が聞いても、震えが止まらなくなるほどの恫喝でした。


この時点で、小6の4月です。


塾を変わろうにも、カリキュラムが終了しておらず未履修分野が残ってしまうので、どうしようかと悩みました。が、「息子には、音声聞いたよ。今すぐ塾を辞めようか」と提案しました。

それに対し「まだ習っていない分野があるし、転塾は無理でしょう?私立中学に行きたいから、まだもう少し頑張らせてください。お願いします。眼鏡新しくなったから、クラス戻してもらったし席のことで塾長を怒らすこともなくなるから」と息子は言いました。


「わかった。でも、あなたの心が一番大事だから、いつでもきつくなったら、言ってね。塾辞めていいんだからね」

と言うにとどめました。


成績ではなく、塾長の機嫌で塾のクラスが昇降する不可解な受験塾でした。