「これはまさに牧場のようだね…」
それを見た瞬間のお嬢とわたしの呟きだ。
昨日といい今夜といい、ブログのネタが虫続きですみません、ちばこです。
実はわたしの副業は足のマッサージをする人なのであるが、そこの常連のYさんがある時こう言った。
「ちばこさん、ここの近くの木にたくさんアゲハの幼虫がいるの」
「へー、アゲハですか」
そんな調子で会話は始まる。
「そう。なんかたくさんいるから『すごいですね』と言ったら『もって行っていいですよ』って言われたから、今度お邪魔して取らせてもらおうと思って。孫にあげて観察してみようと思うわ」
とかなんとか。
話を聞くと、とにかくたくさん幼虫がいるので取り放題らしい。
アゲハの幼虫はまあ、子供の頃から見慣れているし、確かに1匹くらいなら頂戴して観察するのもよかろうと思い、「じゃあ、後でうちも見てきますよ」と言って、Yさん帰宅後お嬢と早速見に行った。
季節は夏。
シャワシャワとセミの声も五月蝿い頃。
夕暮れ近くになった道をお嬢と歩き、問題の木の下に立つ。
耳を澄ませば、どこからか「シャクシャク」と音がしてくる。
「シャクシャク」
「シャクシャク」
「シャクシャク」
足元を見るとそこには無数の黒くて丸いものが落ちていた。
「なんだろう、この木の実なのかな」
とお嬢と話しながら頭上を見上げてみれば。
そ こ に は !!!
オオミズアオの若い衆がお食事中。
あっちにもこっちにも、とにかく集団でお食事中。
呆然としながら思わず思った。
…いや、こりゃアゲハじゃねーだろ、どう見ても
「ママ、すごいねえ。たくさんいるねえ。わくわくしてくるねえ」
いや、ワクワクっていうかさー。
多分、あれはですねYさん。
うちに毎年やってきて下さる「月の女神」の若い姿と思うんだが…。
毎年やってきてくれるんだけど、一体どこで育っているのだと思っていたら。
「シャクシャク」っていうのは、その若人たちが元気に葉っぱを啄ばむ音だった。
あまりにもたくさんいたのと、その音がとても元気すぎて、
なんというかある意味感動。
命の賛歌、若い命に乾杯、みたいな。
お嬢と二人、それからしばらくその木の下に通った。
彼らの元気な姿を見たくて。
まさに牧場だ。
碧の牧場に解き放たれた若人たちよ、その青春を謳歌せよ。
が。
しばらくしてその木はきれいに枝を伐採されて、丸裸になっていた。
つくづく残念だ。
あの養殖場が今でも残っていたら、それは見事な「月の女神」が見れたであろう。
彼らは成虫になって7日ほどしか生きられない。
彼らには口がないので飲まず食わずでその一生を卵を産むことだけに費やすのだ。
卵を産んだ後は力尽きて死んでいく。
今年も来てくれるかなあ。
女神様。
毎年春先から初夏にかけてやってくるのだけど、あの神秘的なお姿にはシビレマス。
嫌いでなければ是非検索してみてくださいな。
嫌いな方は決して検索をしたらいけませんよ~。