今日は10時からシンチャイ先生の治療院に行かなければならない。
先日、シンチャイ先生(の奥さん)から「二日後にまた来てください」と予約を入れられたからだ。
私は生まれつき身体が硬くて、特に疲れたりストレスが溜まると背中が凝って気持ち悪くなる。
なので、マッサージに行くと大抵の店で「硬い!」とか「石のようだ」とか言われる。
オールドメディスンのマッサージ師さんも「シンチャイ先生のヌワット(マッサージ)はラクサー(治療)だから、あなたにはその方がいいね」と言ってたくらいだ。
しかし、いくらシンチャイ先生でも、身体が極度に凝って硬い人間を一度のマッサージで治せるはずもなく、結果的にチェンマイにいる間は何度も通わされる羽目になる。
8時30分、ホテル出発。
とりあえず朝の時間が勿体無いので、10時までに一箇所寄ってからマッサージに行くことにする。
9時00分、ワットプラシン(Wat Phra Singha)参拝。
ワットプラシンは、ラーンナー国王パユー(King Pha Yu)が父王カムフ(Kham Fu)の遺骨を埋葬するために仏塔を建てたのが起源である。後にシヒン仏(Phra Buddha Sihing)を遷して現在の寺名になった。シヒン仏は仏塔正面の礼拝堂ではなく、仏塔脇にある一回り小さい礼拝堂(Wiharn Lai Kham)に収蔵されている。ちなみにワットプラシンの仏塔は辰年もしくは辰年生まれの人にご利益があるとされる。
シヒン仏は私がタイで最も美しいと考える仏像なので、シヒン仏を刻したプラがあったら欲しいと常々思っていたら、プラ販売所にこれまで見たこともないシヒン仏のプラ(200B)があった。
ケースには「シヒン仏、ブッダの悟り2600周年、ワットプラシン、チェンマイ」と書かれており、この祭典は西暦2012年に行われたので、このプラを見たことがないはずである。
このプラは一般的な普通のプラに比べて仏像の肉厚があって美しく、とても嬉しい発見となった。
9時40分、腹が減ったので、カオマンガイの有名店キヤットオーチャー(Kiyat Ohchaa、發清)で朝食にする。
カオマンガイ(中110B)
ここはチェンマイに初めて来た頃から通いつめた店で、旨くて馴染みある味なのだが、カオマンガイが100Bを超えているのにはビックリした。
10時10分、シンチャイ先生の治療院(600B/2.5h)。
シンチャイ先生の奥さんのマッサージは私好みで、タイ式と言うより日本の指圧や整体に近く、首や肩、さらには腕の付け根、脇の下、肩甲骨の上、胸部や腹筋に及ぶまで力強く肘でグリグリ押す。
どこも急所とも言える箇所で、よほどグリップに自信が無ければ出来ない芸当だ。
シンチャイ先生のところでマッサージを体験すると、街角の商業マッサージとは全く別物であり、タイ式マッサージが本来はリラクゼーションが主目的ではなく、あくまでも身体の不調を治癒するために成立したものだと改めて認識するのだ。
12時40分、ワットチェディールアン(Wat Chedi Luang)参拝(入場料40B)。
この寺院は14世紀末にラーンナー国王センムアンマーにより工事が始まり、完成に半世紀を要している。ここには崩れた大きな仏塔がある。この仏塔は当時高さ82mあったとされ、1545年の地震により崩壊した。ちなみにエメラルド仏(Phra Kaew Morakoth)は一時(1468–1551)この仏塔に納められていた。
ガイヤーンクルントゥア、バンブーサラダラオススタイル、カオニャオ、コーラ(160B)
以前も書いたが、この店は私の一番お気に入りの店で、チェンマイの初日は必ずここで夕食をとると決めていたほどだ。
何がそんなに良いのかと言うと、ガイドブックには必ず掲載される有名店であるにも関わらず、何時行っても客が少なくガラガラの状態だったからだ。
しかし、現在は以前の場所から移転し、営業時間がほぼ昼の間だけに変更したので、やっと私はこの日の昼間に来ることができたのだ。
この店のガイヤーンは本当に美味しいのだが、夜の営業をやめたり不定休とったりして、何となくヤル気が無いように感じるのは私だけだろうか。
14時00分、ラーンナー建築センター(Lanna Architecture Center)見学(120B)。
ここの建物は100年以上経つ古い館で、館内にはランナー建築に関する展示がある。
ここはチェンマイ大学建築学科が管理しており、展示について学生さんが説明してくれる。
最初は一人で静かに見学したかったのに、一々説明に付いてきて邪魔だなと思っていたが、なかなかの美人さんだったし、北タイの仏教の受容時期と寺院建築の変遷について興味深い話を分かりやすく教えてくれるので、ついつい質問を重ねて有意義な時間を過ごすことができた。
15時25分、一旦ホテルに戻り、ホテルから明日の乗馬体験の予約をしてもらう。
17時30分、再び外出して、スーパーリッチで2万円を両替(レートは0.292)。
17時50分、ナイトバザール近くの床屋に行って散髪(200B)してもらう。
チェンマイの話をしていて「今タイは景気すごくいいよね」って言ったら、「そんなこと無いよ!外にはいっぱい外人がいるけど少しもウチに来てくれない」とボヤいていた。
確かに好景気を実感している商売とそうではない商売はあるだろう。
しかし、タイではホテルの宿泊費やレストランでの食費など観光産業を筆頭に物価が上がっているのは事実。
(ちなみに過去の記録によるとこの散髪屋の10年前の料金は130B)
特にチェンマイは高くなったと感じる場面が多く、物によってはバンコクより高いものもあり、この物価高騰は観光客の増加が一因ではないだろうか。
なぜならランパーンやランプーンなど比較的観光客の少ない地域、さらにチェンマイでも地元民が利用する店やローカルな市場ではまだ物価が安い所もあるからだ。
19時45分、チャーンプアック市場の屋台にて夕食。
カオガパオムーサイカイダーオ(50B)
夕食後、マンゴージュース(30B)を買って帰る。
20時20分、ホテルに帰着する。
こうしてタイ滞在二十二日目、チェンマイでの夜は更けていったのでした。