仕事がうまくいっていない。
今更ではないけれど、人間関係の悪い職場でスタートした私の職場。
もう限界に来ている。人を入れ替えしてしまわなくては、大切な人材は一人も残らないのだろうと思う。
しかし、私はもう、戦意喪失。がむしゃらに突っ走ってきた。もう、忙しくてすべてを犠牲にして仕事に打ち込むしか手段がなかった。「もう、辞めよう・・・・」そうおもっていた。
ふと、自宅でPCを立ち上げる。時間は23時半を回っていた。
「よう!」
声をかけてきたのは、佐々木だった。
あ。。。。こんなTimingで逢えるなんて・・・・
「ひさしぶり!!」
とりとめのない会話が続く。
「顔が見たい!!」
佐々木はWebカメラをONにしてくれた。
「顔見るのひさしぶりだなぁ・・・・
」
「チアキさぁ・・・・カメラ買って来いよぉ・・・俺だって顔みたい」
無性に涙がこぼれた。
「もう。。。仕事で辛くて。ずっと張り詰めてきたから、なんだか、すごく今ホッとして、気がついたら、
私。。ずっと涙も流さずやってきたんだっけって・・・・・もう限界だよ。」
カメラに映る佐々木は、ふと笑顔が消える。入力する手も止まっていた。表情からは、じっと私の打つ文字を見ながら、何があったんだろう?というような表情だった。
「お前は、泣かないとぉ!泣かないとつぶれるぞ。仕事中は泣けないんだから、一人になったとき、吐き出すように泣かないとダメだよ。ガス抜きだよ」
「そうだったね。溜め込んだ証拠だよね」
「泣いてる?」
「・・・・いや、鼻かんでた」(泣いたので鼻をかんだけど)
「そっか。俺もね、みてこれ!」
カメラに佐々木のふくらはぎが写された。よく見ると、ものすごい腫れあがっている。
「どうしたの??」
「訓練中に怪我したんだよ。でも、救助にいってまーーす!」
「医者には見せたの?」
「うん。運動しちゃいけませんって言われた」
「運動しちゃいけないって。。。。仕事柄そうはいかないって知ってて言ってるの?」
「知ってるの。でも、ゆっくりしないと直らないよって言うけど、そうはいかないもんな?」
「そうなんだ。。。。」
「早速、火事あって、建物の中に人がいるって通報受けたから、火消しは他の人がやってるから、俺は、中に入って助けなきゃいけないし、どんな人がいるのかもわかんないからさ、俺より重い人だったらまずいなぁ。。とは思うけど、そんなこと言ってる場合じゃないし。」
「そう。。。痛いのに、、、がんばったね。。。みんな苦しいの耐えてがんばってるんだよな」
「そうだよ。だから、思いつめないで、適当にやりなさい!」
「ありがとう・・・・」
「さぁ、俺も明日は勤務だ。寝るぞ!」
約45分のチャットだった。
すれ違いが多く、月に1回なんてチャットできないけれど、ここで、一言!と思うとき、いつもいいTimingで話ができる。
ありがたかった。暖かさを感じた。
毎回心配しても心配しきれないのが、佐々木の体のこと。
危険な仕事だから、お互いに慎重にやらないと、自分がつぶれるからね・・・・と出会った頃は合言葉だった。
振り向けば、まだこうして話をするのが普通になる以前、神戸の震災で、お互い別々の土地で救助活動を行っていたのだ。当然、そのとき、顔を見たのかどうかさえわからないけど、縁あってこうしてつながっている。
つかず離れず、細く長くで、6年目。
どこまで続くのだろうか?と思う関係で気持ちがいい。
早く逢えるといいな・・・・と思いながら。